いわきと福島のプレシーズンマッチ「2024 福島ダービー」は2-2の引き分け。前半13分、いわきDF嵯峨理久(25)のパスにMF山口大輝(26)が反応し先制。前半32分に同点に追いつかれるも、その2分後、またも嵯峨の浮き球にFW谷村海那(25)が頭で合わせ、勝ち越し。後半38分に同点に追いつかれたが、昨年9月のケガから復帰した嵯峨が、2アシストの活躍で存在感を示した。

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東日本大震災で甚大な被害を受けた福島県。会場の「Jヴィレッジ」には震災直後、仮設住宅が建てられた。試合前のミーティングでは当時の写真が張り出され、いわき田村雄三監督(41)が「サッカーができる幸せをかみしめてやれ」と告げ、その言葉通りに両イレブンは90分間、プレーできる喜びを体現。3588人の観客に希望と感動を与えた。

24日水戸との開幕戦前に行われたプレシーズンマッチ。初のJ2を戦ったいわきは昨季18位に終わり、高い壁を痛感。2年目の今季はプレーオフ以上(6位以内)を目指す。「開幕前に新たな課題が見つかり、有意義な試合になった」と指揮官。「攻撃の回数や形は出せたので、決めきる力やリスクマネジメントを徹底していきたい」と万全な状態で開幕を迎える。

嵯峨が昨季の雪辱を果たす。昨年6月18日千葉戦後、ケガの治療のためチームを離脱。9月17日群馬戦で約3カ月ぶりにピッチに帰ってきたが、復帰戦でまさかの全治3カ月の左足関節内果疲労骨折。2度のけがを乗り越えて迎えたこの試合、プレー時間に制限がかかる中で2アシストをマークした。「勝ちきれなかったのは悔しいが、開幕1週間前にこの結果(2アシスト)が出たので自信になった」と振り返り、「久々にたくさんの方々の前でプレーをして、あらためて『サッカーが楽しい』と思った」と喜びをかみしめた。昨季の分まで大暴れし、チームをプレーオフ以上へと導く。【木村有優】