新潟は敵地で鳥栖を2-1で破り、開幕白星スタートを切った。0-1の前半ロスタイムにFW谷口海斗(28)の2年連続開幕戦ゴールで同点に追いつくと、後半9分、この日、キャプテンマークを巻いた左DF新井直人(27)が右CKからつないだボールを頭で押し込み、試合をひっくり返した。最終盤は押し込まれたが、守備陣が体を張って逃げ切った。アウェー連戦となる次節(3月2日)はG大阪と対戦する。

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沖縄・高知キャンプから好調のストライカーが勢いそのままに「てっぺん(初優勝)」を目指す新シーズンの号砲を鳴らした。谷口は0-1の前半45+3分、MF宮本英治(25)の縦パスに抜け出すとペナルティーエリア右角付近から迷わず右足を強振。ボールの芯を捉えたシュートは逆風に押し戻されることなくゴール左に突き刺さった。2年連続のチーム1号ゴール。同点弾のため派手なガッツポーズのない、控えめな喜び方だったが、チームを勢いづける豪快な一発だった。

「風は気にならなかったし、GKの位置も見えていた。自分らしく振り抜こうと。ゴールはみんなが取らせてくれたかな」

オフにはGK小島亨介(27)と元新潟の大本祐槻(29、J2熊本)、スポーツトレーナーと4泊5日の熊本合宿を実行。俊敏性や体の特長にあったトレーニング法を学び直した。1、2月に行われたチームキャンプでは練習試合でチーム最多の4得点を挙げた。「今年はゴリっと。エゴを出していきたい」と話していた通り、シャープな動きだしから有言実行のゴールを挙げた。

今季の新体制発表記者会見で「てっぺんを目指す」と宣言した松橋力蔵監督(55)は、勝利のハイタッチにも力がこもった。昨季、1分け1敗の鳥栖に逆転勝ち。2-1の後半27分には攻撃的な選手を一気に3人投入するなど、最後まで追加点を狙った。最終盤は押し込まれたが、「全員がハードワークをして相手にゴールネットを揺らすことを許さなかった。勝ち点3を取ることができて良かった」と指揮官はほおを少しだけ緩めた。

鮮やかに試合をひっくり返した新潟は次節もアウェーでG大阪と対戦する。谷口は「試合の中で出た課題をみんなで修正して次に臨む。次もゴールが取れるように頑張ります」。今季初ゴールは単なる通過点でしかない。【小林忠】

 

○…新井は1-1の後半9分、右CKをニアでそらしたFW鈴木のボールをファーサイドでプッシュした。勝ち越しゴール確信後は敵地に駆けつけた約900人の新潟サポーターのもとへ走り、“新井コール”の大歓声を浴びた。「チームとして狙い通りの形。開幕戦はセットプレーが重要だと思っていた。勝利できてうれしい」と笑顔だった。

 

○…J2いわきから新加入の宮本がボランチでフル出場。J1デビュー戦で逆転勝利に貢献した。0-1の前半ロスタイムにはループパスで谷口の同点弾をアシスト。「リターンをもらうつもりだったけど(谷口が)打っちゃった(笑い)。思わず、すごっと声が出た」と試合後も驚いた表情を見せた。中盤の底で走り続け、ボールを奪って攻撃につなげた。「守備の良さは出せたし自信もついた。次も試合に出られるように(ポジション)競争に勝ちたい」。

 

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