アルビレックス新潟は名古屋を1-0で破った。ホーム開幕戦勝利はJ2時代の21年以来3年ぶり。J1では09年以来15年ぶりとなった。スコアレスで迎えた後半43分、後半途中投入のMF長谷川元希(25、J2甲府)がJ1初ゴールで試合を決めた。1トップの位置ではFW小野裕二(31、J1鳥栖)が新潟加入後初出場、初先発。後半24分に交代するまで攻撃の起点となり、次々とチャンスを作り出した。ニューフェース2人が存在感を示し、2万人を超すオレンジサポーターを熱狂させた。

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ホーム開幕戦を待ちわびた新潟サポーターと、最後まで勝利を目指した選手全員の思いを乗せた「元希玉」が勝負を決めた。長谷川元は0-0の後半43分、ハーフウエーライン付近でMF秋山からパスを受けるとドリブルで左に進入し、最後は迷わず左足をズドン。相手の足に当たったシュートはドライブ回転がかかりながら相手GKの頭上を越え、ネットに吸い込まれた。ゴール後はチームメートを引き連れながらサポーターのもとへ一直線に向かい、雄たけびを上げた。

「初のホームゲーム。みんなと喜びを分かち合いたかった。自分のサッカー人生においても重要なシーンになった」

前節2日G大阪戦はフル出場したが、この日はベンチスタート。後半33分、MF高木に代わってトップ下に投入されると、同35分に相手の逆を突く切り返しから左に開いたFW谷口にスルーパス。その後も敵陣のスペースに顔を出してパスを引き出し、攻撃を活性化させた。「短い時間でゴールを意識した。自信を持ってプレーできた」と振り返る。

「ドラゴンボール」の作者で、少年漫画の第一人者として知られる、漫画家の鳥山明さんが1日に急性硬膜下血腫により、68歳で亡くなった。決勝点を決め、この日の主役となった長谷川元は新潟恒例の勝利パフォーマンスで、ドラゴンボールの登場人物である孫悟空の必殺技「かめはめ波」と「元気玉」ポーズを披露し、敵役のGK阿部を倒した。長谷川元は「漫画を読んだ時はないです…」と頭をかいたが、追悼の意を込めて「精いっぱいやらせてもらいました」と話した。

ホーム開幕戦で劇的勝利を挙げた新潟は次節16日、アウェーで東京Vと対戦する。自身初のJ1舞台で戦闘力を高め続ける背番号14は、「連勝しないと意味がない。いい準備をして次もゴールを狙いたい」と力を込めた。【小林忠】

 

○…今季初のクリーンシート(無失点)で勝利した。開幕から2試合連続で失点しており、守備の部分で不安を残していたが、2試合ぶりに先発出場したDF舞行龍ジェームズ(35)を中心に粘り強く守り、相手の得点の芽を摘んだ。舞行龍は「試合中にもしゃべりながら、カウンターのリスク管理だったり、カバーの連係は出来ていたので、あまりやられる場面はなかったと思うので、それはすごいよかった」と話した。

 

○…小野が体を張ったポストプレーでチームの攻撃力を引き出した。「今あるチームの形の中で、アイデアだったり、ボールを失わないことを意識した」。ホームでの今季初出場を「改めて多くの人が新潟ってクラブを応援しているんだな、と実感した。また見に来たいと思ってもらえるよう、1つ1つのプレーにこだわり続けたい」と話した。

【J1】町田-鹿島、新潟-名古屋、FC東京-神戸、川崎F-京都など/スコア詳細