川崎フロンターレDF三浦颯太(23)が“古巣”FC東京との「多摩川クラシコ」に初出場し、躍動した。

中学時代、東京の下部組織で育った三浦は、前半34分に、左サイドを突破してクロス。相手の苦し紛れのクリアがゴールポストに当たり、跳ね返りをMF脇坂泰斗主将(28)が詰めて決勝点となった。

「今日は前に、前にというところを意識した。その結果、自分の得意な位置で仕掛けることができて、狙い通りの形ではなかったですけど、ヤスくん(脇坂)が詰めてくくれたので、いい時間でも先制点だった」

かつて自身が育ったチームとの対戦だった。必然的に特別な思いがわき上がってきた。「試合前だったり、試合中だったり、耳に残っているFC東京のチャントが懐かしいなとところどころ思いながら試合をしていました」。特に気にしていなかったが、「実際に始まったら、サポーターも含めて、やはり普通の相手とやる感情ではなかったです」と正直な思いを吐露した。

3連敗を喫するなど不調だった。代表ウイークの中断で、システムも4-3-3から4-2-3-1の形に変更。それがうまくはまった。試合前のミーティングで鬼木達監督(49)から「新しいフロンターレをみせよう」と声をかけられた。「その1戦目でしっかり結果が出て、すごく自信になりましたし、次の試合にもつなげたいと思います」と充実した表情を浮かべた。先制点の起点となっただけでなく、持ち味の推進力を生かして、攻守にハイパフォーマンスを披露した。 東京のアカデミー時代は、試合に絡むことができず、ユースに昇格することができなかった。それでも帝京高、日体大、ヴァンフォーレ甲府を経てJ1のピッチにたどり着いた。元日には日本代表デビューも果たした左サイドバックの成長曲線は計り知れない。【佐藤成】