<J2:福岡2-0岐阜>◇第36節◇23日◇長良川

 福岡が、5季ぶりのJ1昇格を決めた。アウェーの岐阜戦にMF永里源気(24)の2ゴールで快勝。福岡へ空路移動中に4位千葉が草津に敗れ、昇格圏内の3位以内が確定した。福岡空港では、500人のサポーターが篠田善之監督(39)らを出迎えた。

 涙のJ1昇格だ。福岡空港にはファン約500人が集結。午後7時30分、ロビーにイレブンが姿を現すと、「ありがとう」「おめでとう」と耳をつんざくような拍手と大歓声が起きた。感動のあまり泣きじゃくるファンもいた。代表してあいさつに立った篠田監督は涙で声を詰まらせながら「みんな頑張りました。みんな(ファン)の顔を見て昇格したんだなと思いました」と喜んだ。

 岐阜戦は最初から飛ばした。執念を見せたのが今季新加入のMF永里だった。古巣の前節東京V戦(レベスタ)は累積警告のため欠場。うっぷんを晴らすかのように2点を決めた。前半10分、右CKからMF中町のシュートのこぼれ球をゴール左隅に突き刺すと、篠田監督に飛びついて大喜び。後半26分、またも中町のシュートのこぼれ球に反応してダメ押し点を入れた。「東京V戦は悔しかった。勝ちに貢献できて良かった」と声を弾ませた。

 福岡初の生え抜き監督も万感の思いだ。篠田監督は08年7月、成績不振で解任されたリトバルスキー監督に代わりコーチから昇格した。だが結果は8位。昨季はクラブ史上ワーストの11位という辛酸をなめた。

 今季は自らコーチを人選。ポイントに挙げていたダブルボランチ(中町、末吉)とサイドハーフ(永里)の補強に成功し、チームカラーの「攻撃サッカー」のレベルが飛躍的に向上した。今季は選手人件費が3億円ほどで、シーズン中の補強はゼロ。それでも、個々の能力を最大限に発揮させる手法で乗り切った。

 昇格をファン、チーム一丸で勝ち取り、誰もが晴れ晴れとしていた。【菊川光一】