揺れていた仙台の監督問題が9日決着し、手倉森誠監督(43)が来季も指揮を執ることになった。この日午後7時30分から約1時間半、仙台市内のホテルで白幡洋一社長(66)と同監督が会談し、丹治祥庸強化部長(38)とともに1年間の契約更新が決まった。3年契約の満了に伴い、続投を求める強化部側と98年フランスW杯代表コーチの小野剛氏(48)を次期監督に推すフロント上層部が対立。サポーターも巻き込む騒動になったが、手倉森監督が就任4年目を迎えることで落ち着いた。

 続投か体制一新か-。混迷を極めた仙台の監督問題に終止符が打たれた。この日夜、手倉森監督との会談を終えた白幡社長が会見し「手倉森と話し、私の心配が払拭(ふっしょく)された。来季こそ目標の1ケタ順位を達成できるのでは、と期待が持てたので『もう1年、頑張ってくれ』と伝えた」と続投を容認した。

 手倉森監督の「最終プレゼン」が通った。7日夜、白幡社長はまず丹治強化部長と面接。あらためて続投を要請されたが「まだ納得できない部分があった」(社長)。だが、この日は「監督に対し1つずつ、今季の反省点や来季の展望を質問し、答えに納得できた。14戦勝ちなしのように、続けて負けることを避けてくれれば」と期待した。これは、かねて「来年は連敗しないクラブにする」と意欲を見せていた手倉森監督の考えが理解された一端だ。

 一時、情勢は監督交代に極めて傾いた。続投を求める手倉森監督-丹治強化部長ラインを無視し、小野氏を次期監督、前京都監督の加藤久氏(54)を強化責任者のゼネラルマネジャーに据えるプランをフロントと地元の有力者らが進めた。関係者によると、最終的に加藤氏には就任要請を断られたが、小野氏は受諾。11月中旬に「仙台に決まった」と同氏が知人に明言していたことが分かっている。

 4日の最終戦後、手倉森監督と丹治強化部長の退任が発表される準備も水面下で進んでいた。だが、この動きを察知したサポーターが「NO」を突きつけた。反対する横断幕を掲げて抗議した。ある関係者が内幕を明かす。「小野氏に断りを入れたのは、サポーターの横断幕が出て、選手バスが囲まれた直後だった」。

 手倉森監督は会談後、自宅に戻って妻真澄さんに続投を報告。「より高みを目指して杜(もり)の都仙台を盛り上げていけるように頑張りたい」とコメントした。残留は果たしたが、14戦勝ちなしなど不振にあえいだのも事実。就任4年目の長期政権で真価が問われることになる。【木下淳】