<皇后杯:INAC神戸2-2(PK4-3)新潟>◇決勝◇23日◇NACK

 INAC神戸がPK戦の末、新潟を下し、日本の女子リーグでは史上初となるシーズン4冠を達成した。リーグ、リーグ杯、国際女子クラブ選手権(IWCC)に続く皇后杯優勝。来季、米国移籍の可能性があるなでしこジャパンのFW川澄奈穂美(28)が主将としてチームをけん引し、80年度から7連覇した清水第八に続く、史上2チーム目の大会4連覇で今季を締めくくった。

 120分間の死闘を終えた後、優勝をたぐり寄せたのは主将川澄だった。PK戦5人目のキッカー。川澄は力いっぱいのキックでゴール左へ蹴り込む。ベンチから駆けだした仲間たちと抱き合った。

 「PKはみんなの思いを背負って思い切り蹴りました。中1日なのも忘れていて、ランナーズハイのような状態でした」

 2年越しでつかんだ4冠。「4冠はみんなで取ったタイトル。今年は相手に目の敵にされる中、苦しい中で勝ち取るのが大事だった」。トロフィーを手にし「4冠ってこんなに重いんですね。4冠は別格だと感じる。今は早く納会で飲みたい」と無邪気に笑った。

 新潟の守備にてこずりながら、最後までパスをつないだ。新潟の俊足FWマッカーティーに2失点したが、今オフ欧州移籍の可能性のあるDF近賀、MFチ・ソヨンがゴールを決めた。

 関東遠征前には、チーム全員で一足早いクリスマスパーティーを開き、持ち寄ったプレゼントを交換し合った。チームを離れる可能性がある選手がいても、結束力は最後まで固かった。

 前日、川澄は自身のブログに「海外移籍について肯定的な意見が9割といった感じで何かうれしかった」とつづった。来季については多くを語らなかったが、今後、獲得オファーが来ている米シアトルかスカイブルーとの交渉次第で、4冠の自信を胸に、晴れて米国へと旅立つ。【福岡吉央】