G大阪が、またもや中東の「オイルマネー」に屈した。FWアドリアーノ(29)がカタール1部ラッホイヤへ移籍することが17日、分かった。5億円の違約金(移籍金)に加え年俸2億円の3年契約、計11億円もの高額オファーに、クラブ間ではすでに合意。アドリアーノは今日18日に現地へ向かい、メディカルチェック後に正式契約を結ぶ。

 リーグトップ9得点のブラジル出身ストライカーには、カタールの2チームが獲得意思を見せていた。当初は高額の移籍金に難色を示していたが、ラッホイヤ幹部は11日の清水戦を視察した。先制ヘッドを決め、献身的にプレーする姿を直接見て、15日には満額の移籍金を準備した“修正”オファーが届いた。G大阪も10日間で3回もの残留説得を試みたが、意志は固かった。

 アドリアーノはこの日の練習には参加せず、練習後に大阪・吹田のクラブハウスで別れのあいさつをした。チームメートのサインが入った餞別(せんべつ)のユニホームを大事そうに握りしめ「29歳ですし、将来と家族のことを考えて決断した。ガンバのみんなは優しく接してくれた…」と声を震わせながら涙した。

 G大阪は07年マグノアウベスと08年バレー、09年レアンドロと、いずれもシーズン中に主力FWが中東移籍した。今回もチーム15点中9点をたたき出し、6戦連発中だったエースが引き抜かれ、西野朗監督(56)は「軸だったので代わりは…ガンバはアジアや世界の目にとまるクラブ。ターゲットになりやすいのは間違いない」と渋い顔だった。

 Jリーグの移籍市場再開は7月15日。G大阪もすでに補強選手をリストアップしているが、1カ月は現有戦力で戦うしかない。ドイツ1部Bミュンヘン移籍が決定的な日本代表MF宇佐美に加え、韓国代表FWイ・グノも腰痛で18日横浜戦(万博)はメンバー外。西野監督は平井や川西の若手FWの名前を挙げ「完全にカバーできないが、チャレンジです」と必死に前を向いていた。(金額は推定)