ルーキーが札幌DF初の“世界切符”を狙う。J2札幌は4日、U-18DF内山裕貴、前寛之(ともに18)のトップ昇格を発表した。内山は世代別代表として、来年はU-19アジア選手権(11月、ミャンマー)が控えている。主力センターバックとして期待されており、15年U-20W杯出場のため、同選手権4強入りを目指す。プロ1年目の目標として、まずは定位置を奪取し、札幌では07年藤田以来、DF選手では初の同杯出場につなげる。

 トップ昇格は内山にとって、通過点でしかない。「将来は海外でも通用できる選手を目指したい。そのためにも、まず1日でも早くチームで試合に出られるように」。まずはレギュラー奪取を果たし、プロ人生の1歩を踏み出す。

 カバリングとコーチングにたけたセンターバックで、将来のDF陣の柱として期待されている。U-18では、当時高校1年ながら、2学年上のDF奈良がトップに抜てきされた際、代役として出場し、11年プレミアリーグイースト制覇に貢献。昨年は1学年上のDF永坂と組んでJユース杯制覇を果たした。2連覇がかかる今年の同杯も16強に進出しており「まずはユース最後の大会で勝ってプロにいきたい」と気を引き締めた。

 定位置奪取の先に、大きな夢を見据えている。来年のU-19アジア選手権で4強入りすれば、札幌では07年MF藤田以来のU-20W杯(ニュージーランド)出場が見えてくる。出場すればDF初となる。「世界大会に出るためには、まずJリーグで出ること。そこができないと始まらない」。日本代表として4大会ぶり同杯出場を果たすため、チームでのステップアップに全精力を注ぎ込む。

 財前監督は、この日の札大との練習試合をチェックし、課題を指摘した。前半45分に出場し、無失点に抑えたが、プロとの差を強調した。「ポジショニングや体の強さも含めて、まだまだ。ユース年代ではできていてもプロでどれだけやれるか」。まずトップで戦える体づくりから始まり、戦術を頭にたたきこみ、先輩DFとの競争を挑む。

 新人といえども猶予はない。三上GMは「13、14年は自前の選手を育てながら、チャンスを与えるスタンス。15年以降は生き残れた選手で戦うというチーム戦略がある。だから来年は1年目といえども結果が求められる」と方向性を示した。12年5人、13年6人と連続でユースから大量昇格も、来季はわずか2人と枠は狭まった。選ばれたものとして、強い覚悟を持って、チャンスを奪いにいくしかない。【永野高輔】

 ◆内山裕貴(うちやま・ゆうき)1995年(平7)5月7日、札幌市生まれ。札幌北園小4年で札幌U-12入り。08年札幌U-15、11年札幌U-18昇格。今季は主将を務める。11年にU-16代表に選ばれて以降、各年代で世代別代表選出。現在、札幌新川高在学中。家族は両親と姉、妹。183センチ、69キロ。血液型O。右利き。

 ◆前寛之(まえ・ひろゆき)1995年(平7)8月1日、札幌市生まれ。札幌上野幌東小3年で札幌U-12入り。08年札幌U-15、11年札幌U-18昇格。11年プレミアリーグイースト、12年Jユース杯優勝。13年U-18代表。現在、札幌白石高在学中。家族は両親と兄2人。173センチ、68キロ。血液型A。右利き。