西野朗監督(63)率いる新生日本代表(FIFAランク60位)がワールドカップ・ロシア大会への壮行試合でW杯に出場しないガーナ(同50位)に0-2で完敗した。バヒド・ハリルホジッチ監督(66)が電撃解任されW杯直前に誕生した西野ジャパン。監督は代わっても弱さは変わらず、敵将にも同情された。W杯開幕まで今日で2週間、日本の初戦コロンビア戦までは3週間を切る中で多くの不安を抱えた。今日31日の午後4時から23人のW杯最終登録メンバーが発表される。
そこには何も見えなかった。明るい兆しも、ロシアへの展望も。視界が悪いのは雨のせいではない。悪いのはチームの状態と日本そのもの。監督は代わっても、弱さはそのまま。壮行試合と銘打たれた国内での西野ジャパンお披露目も、W杯ロシア大会での躍進を予感させるような内容ではなくブーイングで終わった。
活動開始からたった10日目での初試合。いきなり黒星という現実を突き付けられた西野監督は「結果が出ず、残念です。勝ってロシアへという気持ちで選手と準備してきたので、それが出ず申し訳ないなという気持ちと、たくさんの課題をつなげないといけない」と言った。
初めてピッチに姿を現した西野ジャパンは3バックでスタートし、後半途中に4バックに。確かに、かたくなに4バックだった前任者とは変わった。ダンディーな63歳は雨だからか、上下グレーのトレーニング用ウエア。前任者はつねにスーツ。でも、変わったのは、指揮官だけ。そう集約されるような90分だった。
前半8分に早々と失点。後半にも一瞬のスキを突かれ、PKで追加点を与えた。相手のガーナは仮想セネガルも、来日したのは17人だけ。W杯にも出場せず、主力はバカンス中とみられ若手中心の編成。急造チームに完敗した。現役時代、ユベントスなどでプレーしたアッピア監督は優しかった。「日本は守りが少し弱かった。ただ、W杯という大きな大会を前に、負けておいた方がいいこともある。コーチもこの結果で学ぶこともできる。メディアの皆さんもコーチには寛大でいてあげてください。W杯ではいい結果をおさめるでしょう」。同情されてしまった。
電撃的な解任劇で技術委員長から突然監督に復帰した。采配をふるうのは、名古屋を率いた15年11月22日以来、実に2年半ぶり。久々の光景を「ピッチに立った感想というか、感じは、広くて、スピーディーだなという感じ」とポツリ。正直すぎるからか「自分の頭の中もスピードアップしていかなきゃいけない」と言った。指揮官もウオーミングアップ中なのだ。
準備期間も心の準備もない中で、格上ばかりのW杯での下克上という難ミッションを背負う。今日31日は23人のW杯最終メンバー発表が待つ。「コミュニケーション不足」が理由で劇的に体制変革し、チームの雰囲気は明るくなった。しかし、結果とピッチの内容は変わらない。分かっていたことだが、もう時間はない。【八反誠】