日本代表の西野朗監督(63)が質問の途中で「そうなんですか?」と目を見開いた。パラグアイ戦に向けた前日会見で「国内は盛り上がりを欠き、関心が薄い。プレッシャーがない分、やりやすいのでは」と聞かれた。冷静沈着、ポツリポツリと話していた指揮官が、早口になった。

 「今、初めて残念な報告を聞かされました。盛り上がってないんですか? 私自身プレッシャーがないというのも、それは間違っている。もちろん。プレッシャーはある」。静かに反撃した。

 ワールドカップ(W杯)に出場しない南米のパラグアイに勝って、勢いをつける。就任以来2戦2敗。日本代表としては国際Aマッチ3連敗中で、半年も勝っていない。勝って、国内の盛り上がりも呼び起こす。

 「この世界、代表チームはどんなゲームでも勝利することが大前提。その上でトライ、テストしていく。勝つことによってのチームの活性化は違う。強く要求して勝負にこだわりたい」

 スイス戦とこのパラグアイ戦を、そのままコロンビア対策と考えていると強調。この2試合で全員使うつもりだ。「あらかじめ伝えています通り、起用の少なかった選手を明日テストしたい。新しい可能性を高いレベルで求めていきたい」。関係者によると、4日前のスイス戦から実に10人も先発を変更する可能性がある。残る1人のDF酒井高もスイス戦の右SBから左SBへ回る見込み。そうなれば、実質的に違うチームを送り出す、思い切りの良さだ。

 この会場を本拠地とするインスブルックは、W杯2連覇を目指すドイツのレーウ監督がかつて率い、リーグ制覇し名将へと駆け上がった。レベルはまったく違うが、同様の成功への道を突き進みたい。会見中「テスト」「テスト」と何度も言った。合格点を国内にも突き付け、勢いに乗って13日にロシア入りしたいが…。【八反誠】