新生イングランドが、劇的な勝利で新たな1歩を踏み出した。1-1の後半ロスタイム。右CKからDFマグワイアが競り勝ってつなぎ、ファーサイドで待っていた主将のFWケーンが頭で突き刺した。前半11分の先制点と合わせて2得点を挙げ、「最後まで努力し、最後に1点を奪えた」と胸を張った。

 サッカーの母国といわれるが、14年ブラジル大会は1次リーグでイタリア、ウルグアイと同じ死の組に入り、1分け2敗の最下位で敗退した。16年夏の欧州選手権でもアイスランドに敗れてベスト16で敗退し、同12月に就任したサウスゲート監督の下で世代交代が進んだ。

 長らく代表を支えたFWルーニーやMFジェラードらはもういない。今大会出場32カ国中、前回大会経験者はナイジェリアに並ぶ最少5人。平均年齢25・57歳は3番目に若い数字だ。そのチームの象徴が24歳のケーン。トットナムでは14-15シーズンから4年連続20得点を挙げ、プレミアリーグ得点王にも2度輝いた。17年はクラブと代表の公式戦52試合で56得点をマーク。メッシ(バルセロナ)の54点、ロナルド(Rマドリード)の53点を上回った。サウスゲート監督は「ケーンはこの勝利を誇りに感じているだろう」と教え子をねぎらった。

 ケーンのニックネームは、本名のハリー・ケーンから「ハリケーン」と呼ばれる。「まだ戦い続けなければならない」と気を引き締めたエースの活躍で、その旋風の幕開けを告げた。