22日、よく晴れたカザンの練習場に乾貴士(30)は一番乗りで現れた。リラックスした様子でボールを蹴り、練習開始まで1人でウオーミングアップ。練習前の青空ミーティングが始まる頃には誰よりも準備が整っていた。1分1秒も無駄にせず、打ち込む姿は、コロンビア戦の悔しさがあったから。ワールドカップ(W杯)初出場で初先発。フル出場したが、無得点に終わった後悔が募っていた。

 「コロンビア戦は特に前半迷惑かけた。緊張はないけど、プレーが良くなかった。相手の速さや当たりの強さに負けた。次のセネガルもそういう(速さや強い)ところがあるので、判断の速さで勝っていきたい。(コロンビア戦を)引きずっていても仕方がない」

 夢のW杯。初めての舞台は思い通りにいかなかった。コロンビア戦でチーム2位のスプリント(ダッシュ)回数48回を記録するなど、攻守において運動量で貢献したが、本人は納得はしない。「自分の長所出すのと周りを生かすことを考えていきたい」と、セネガル戦では得意のドリブルから初ゴールを狙う。

 明日24日の相手はアフリカの強敵。日本がゴールをこじ開けるには、2試合連続で先発の可能性が高い乾の攻撃センスが鍵を握る。相手の速さと身体能力の高さに対抗するのに「足もとに(守備が)くるので(DFの)裏を狙っていきたい」。同じ間違いは繰り返さない。「W杯は楽しい感覚はまだない。必死です」。日本が誇る永遠のサッカー小僧が心から笑うには、大舞台でのゴールが必要だ。【小杉舞】