ブラジルFWネイマール(26)が完全復活を印象づけるゴールを決めた。コスタリカ戦の後半ロスタイムにチームの2点目を奪い、2-0の勝利に貢献。それまで何度も好機を阻まれ、後半にはいったんはPK獲得も、ビデオ判定(ビデオ・アシスタント・レフェリー=VAR)で覆される場面もあった。試合終了後は感極まって涙を流した。チームはこれで1勝1分けと、息を吹き返した。コスタリカは2敗で1次リーグ敗退が決まった。

 後半ロスタイム1分にコウチーニョのゴールでやっとリードを奪い、もう勝利は手中にあった。それでもネイマールは最後までゴールを目指した。もう残り時間はほとんどないロスタイム7分、右のドウグラスコスタからのクロスに直接左足を合わせてネットを揺らした。17日の第1戦スイス戦では無得点に終わったが、この日の最後にエースの意地を示した。ブラジル代表単独3位となる通算56点目、ワールドカップ(W杯)通算7試合で5点目だった。

 苦しい90分間だった。レアル・マドリードGKナバスを中心に守られたコスタリカの壁は堅く、シュートやクロスを狙っても、ことごとくはね返されていた。スイス戦同様に激しいマークに遭い、何度も倒された。後半33分ごろにはペナルティーエリア内で相手をかわして倒れると、主審はPKと判定。ボールを持って蹴る準備をしていると、VARで「ファウルなし」と判定が覆って、先制のチャンスが消えた。

 そんなイライラからか、ボールをたたきつける場面も。同36分にイエローカードも受けた。

 スイス戦で10回もファウルを受け、2月に負傷した右足にダメージが残り、19日の練習は痛みから数分で切り上げ、先発が危ぶまれていた。前日にチチ監督は「(スイス戦で)約3カ月ぶりに90分間プレーした。コンディションを万全に戻すには5試合くらいかかるので、徐々によくなっている」と説明。これが負傷から復帰4戦目で、気持ちを切り替えるように、第1戦より髪を短くして先発のピッチに立った。

 すべてのフラストレーションから解き放たれたかのように、試合終了の笛が鳴ると顔を覆って、肩を震わせ、涙した。14年大会は準々決勝で悪質なファウルを受けて負傷離脱し、チームも優勝にも届かなかった。その借りを返す戦いが、この日のゴールで一気に勢いづくはずだ。