サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会で白星発進した日本は今日24日、1次リーグ第2戦でセネガルと対戦する。先発1トップは、もちろん大迫勇也(28=ブレーメン)。初戦コロンビア戦で決勝点を挙げ、02年日韓大会の稲本潤一以来2人目のW杯2戦連発に照準を定めた。最速の決勝トーナメント進出が近づく一戦へ「半端ない」活躍を日本に届ける。チームは冒頭15分公開の公式練習を行った。

 「半端ない」ブーム再来の中、大迫が2戦連発を狙う。最前線で獅子奮迅の働きをしたコロンビア戦。決勝点の後は足をつるまで走ったが、問題ない。主力組に入ったという非公開の最終調整を終えると「やるからには勝ち点3を取りたいけど、W杯は甘くない。思うようにいかなくても我慢して、耐えて、覚悟を持って踏ん張りたい」と短い言葉に決意を込めた。93秒で自ら取材を打ち切ると、ピース又吉、俳優竹内涼真の問い掛けにも会釈だけで無言。静かに控室へ消えた。

 狙うはW杯2試合連続ゴール。02年大会の稲本以来だ。当時12歳。「初めてちゃんと見て、W杯が夢の場所になった」。その時に見ていた2戦連弾に、初の16強につながった快挙の再現に、今度は自ら挑戦する。

 まずは体を張る。鹿児島城西高時代の08年度全国高校選手権・滝川二高戦。2得点されたDF中西主将は「半端ないって」と叫ぶ前に「2人がかりで止めにいっても、はじかれた。エグい」とポストプレーに感服していた。当時、映像で見て「非常に楽しみ」と話していたのが、10年大会で16強入りした元日本代表監督の岡田武史氏(日刊スポーツW杯特別評論家)。コロンビア戦を当地で見て「今の大迫ならタメをつくれて厚みある攻撃ができそうだ」とキーマンに指名した。

 そのタメはドイツで世界クラスになった。「W杯に出るため、じゃなく得点するため」と挑んだブンデスリーガで、日本人FWでは高原と岡崎に次ぐ100試合出場。試合が始まると、大迫はDFとの力関係を測る。「当たられた時に真っすぐになる角度で、寄っかかるように体を預ける」。同時に二の腕もつかんでみる。太さ、筋肉の質から当たりの強さを推察。間合いを測る材料を集めている。

 その上で、今年2月のハノーバー戦では今回対戦するセネガルのDFサネと絶妙な距離を取り、こぼれ球を左足ダイレクトで蹴り込んだ。今大会コロンビア戦の1点目も、大迫が競り勝ち放ったシュートから香川がPKを奪った。身を投げうって起点になり、肉弾戦から2戦連発をもぎ取る。

 セネガルに勝ち、コロンビアがポーランドに引き分け以上なら最速2戦目での突破が決まる。が、大迫に慢心はない。「セネガルもいい選手が多いし、映像をしっかり見て臨むだけ」。大会前に「歴史を塗り替えたい」と過去最高の8強を目標に掲げた男は2戦目も「初戦のつもりでやる」と一戦必勝。無心で連発、そして日本初の開幕2連勝をもたらした時、再び列島をあの言葉「半端ないって」が駆けめぐる。【木下淳】