突破のカギは分析力と実行力-。サッカー日本代表MF本田圭佑(32=パチューカ)が、4年前との違いを見せつける。26日、1次リーグ突破が懸かるポーランド戦に向け、本田は14年ブラジル大会で惨敗した自分たちを引き合いに、“じゃんけん”に例え臨機応変に戦うことを強調した。
強い日差しが照りつける中、本田は静かに準備を整えた。冒頭15分の公開部分では、列の後方でランニング。額から滴る汗を拭いながら、1次リーグ突破に向け、冷静に頭の中を整理しているようだった。
4年前は前評判は高かったにもかかわらず、1勝もできずに1次リーグ敗退。「自分たちのサッカー」に固執し、やりたいことにこだわった。だが今は違う。
「14年と比較して明らかに違うのは自分たちありきから相手ありきになった。サッカーの本質の考え方、価値観が変わった。要は、相手のやることが分かっている時、じゃんけんやったらチョキ出されるの分かっていて、なんでパーにこだわる必要があんのって話」
価値観を変えたのはイタリアでの経験だ。世界一の戦術大国で臨機応変さをたたき込まれ、ACミランで勝者のメンタリティーを植え付けられた。全ては「勝つ」ことにこだわった。
「(イタリアの戦術は)とにかく相手のいいところを消すサッカーに徹底する。自分たちの良さをピッチ上で発揮するというのを大前提で。相手が何を出してくるのかを抑えにいく、しっかり分析するというところは大きく変わった」
いかにポーランドらしさを出させないか。1次リーグ突破のカギは、短期間での分析力と実行力。そこも本田は心配していない。
「必死にやっていく中でいい形ができているというのは評価できると思う。期間がなかったのでやることだけを必死にやってきた。今日から試合まででやれることがあるのも事実で、そこの(やり遂げる)センスは14年の時にはなかった」
今の日本代表には集中力と一体感がある。後半途中からの出場が定位置の本田だが、コロンビア戦での決勝アシストに加え、セネガル戦でも同点ゴールと、勝ち点に直結する仕事を果たしていることから、ポーランド戦は先発に復帰する可能性もある。新しい本田の戦い方で決勝トーナメントの舞台へ-。夢、目標、経験、全てが詰まった一戦が始まる。【小杉舞】