日本代表のGK川島永嗣(35=メッス)が、スーパーセーブ連発で1次リーグ突破に貢献した。前半32分に相手シュートを右手を伸ばしてゴールライン上でセーブするなど、何度もあったピンチをセットプレーによる1失点にとどめた。第2戦のセネガル戦の痛恨ミスで風当たりが強くなっていたが、汚名返上のプレーで批判を吹き飛ばした。不動の守護神として史上初の8強進出を目指し、ベルギーの猛者の前に立ちはだかる。
GKとして初めてW杯でキャプテンマークを巻いた川島は試合後、静かな口調で切り出した。「前の試合でチームに迷惑をかけていたので…」。セネガル戦ではシュートをパンチングして相手に当てるミスで先制点を献上し、引き分けに責任を感じていた。だからこそ、この一戦を最後の試合にするわけにはいかなかった。「この結果を3試合を通して作れたというのは非常にうれしい」。安堵(あんど)が交ざった、穏やかな表情だった。
ビッグセーブでチームを救った。前半32分、カウンターからMFグロシツキのヘディングシュートを浴びた。右に横っ跳びし、右の手のひらでボールをかきだした。ゴールラインテクノロジーの映像はボール半個分、ゴールラインを割っていた。あと約8センチのところで失点の危機を救った。
1、2戦のベテランらしからぬプレーから「川島交代論」も噴出する中、ベンチスタートのMF長谷部主将に代わり、西野監督からキャプテンマークを託された。「いろんな意味があったと思う。思いをくみ取らないといけない」。火が付かないわけがなかった。「(好セーブはあくまで)1つのシーンではありますけど、貢献できて良かった」。ピッチで見せる気合の入ったどや顔はなく、最後まで落ち着いた声色だった。
GKとしての信念は変わらない。「ミスと常に向かい合わせ。でも、恐れていたらいいプレーはできない。そのはざまで葛藤しながらプレーしなければいけない」。ポーランド戦でW杯での日本人最多タイとなる10試合に出場。長く代表でプレーし続ける中で批判も浴びてきた。「周りを納得させるのは自分しかいない。証明するしかないと思っていた」。ここまでの失点を帳消しにしたとは思っていない。それでも日本のGKは川島だと思わせるプレーを90分、まっとうした。【岡崎悠利】



