日本代表はユニホームでも海外で高い評価を受けている。「リアル・ジャパンブルー」を追求してたどりついた「藍」をベースにし、テーマは「勝ち色」。日本の伝統的な色と柄が海外でも受けているようだ。サムライブルーはテーマのごとく、2大会ぶりの16強入り。製作に携わったアディダスのマーケティング事業本部の山口智久氏(35)に、今の思いを聞いた。

 山口氏はロシアで初戦のコロンビア戦を観戦した。現地では、アディダスの海外スタッフを含めたミーティングもあり、そこで高評価を受けたのが日本とドイツのユニホームだったという。海外のスタッフから「This is JAPAN」と賛辞をもらい、英メディアなどの独自調査ランキングでも、日本のユニホームが上位に入った。

 今回のユニホームの原点は、ブラジル大会惨敗の悔しさを思い返し「日本が勝つためのユニホーム」と考えたことだった。「勝ち色」は戦国時代の武将たちが戦の前、鎧(よろい)下の着衣を「藍」に染めた話も踏まえ「リアル・ジャパンブルー」を追求し、たどり着いた色。前面には日本伝統の刺し子柄が入っている。

 山口氏 テイスト的にも伝統が強く、日本人にしか理解されなかったら…と思っていたのですが、伝統的な部分も含めて、世界から見た日本が評価されている印象でした。日本だけでなく、世界にも「勝つ」というメッセージと魂が世界に通じたのかなと思います。

 ユニホームの販売数はコロンビア戦後から倍以上に伸び、その後も好調だという。「勝ち色」での快進撃に、山口氏は「非科学的かもしれませんが、思いが届いたのかな」と話す。ユニホーム開発時に掲げた目標はベスト8。「今は過去の成績に追いついた段階。次に勝って、史上初のベスト8で初めて世界に勝ったといえる。1次リーグ以上に、魂をこめて応援したい」と期待を寄せた。【岩田千代巳】

 ◆ワールドカップ(W杯)ロシア大会日本代表ユニホーム 「藍」をベースにした青は、武将たちが戦の前、鎧下の着衣を抗菌作用が高いとされる「藍」に染め、布をたたく染色作業の「褐(かつ)」を「勝つ」にかけたという話が由来。W杯初出場から20年の大会で歴史を紡ぐ思いを込め、前面に約800の「刺し子柄」の伝統刺しゅう模様を入れた。刺し子には生地を強くする意味もあり「日本を強くする」の願いも込められた。