日本代表の西野朗監督(63)が、ワールドカップ(W杯)での歴史を塗り替える。史上初のベスト8進出をかけ、決勝トーナメント1回戦で強豪ベルギーと対戦する。さえ渡る勝負勘と、采配で2大会ぶり3度目の16強へと日本を導いた。突破して日本サッカーの歴史を塗り替えるための大一番を前にしても、落ち着いている。

 公式会見ではお約束だったイヤホンの扱いも上達。自力で難なく耳に引っかけた。いきなりPK戦について聞かれると「PK戦に至る前に決着をつけたい。1度たりともチームとしてPK戦の練習をしてゲームに臨んだことはない。あまり意味のないトレーニングだと思うので。明日はそこに至る前に、決着をつけたい」と力強く言い切った。

 もうすぐ就任から3カ月。わずかな期間で、日本をW杯16強へと導いた。先発を6人も代えたポーランド戦。終盤攻撃を放棄し、負けを受け入れて他力での突破。大ばくちを打って、すべてに勝ってここにいる。まさに神懸かり。この采配のおかげで、王者ドイツも、あのメッシとロナルドも去ったW杯の舞台に、まだ日本がいる。

 「世界のトップ3(FIFAランキング3位)にランクされているチームにどう挑んでいくか。61位の日本ですから。あらゆる策を駆使して。今は持っていないかもしれません、その力を。ただ、チーム全体で別の力を作り出して戦う。そういうことをしていかなければ、戦えない相手。紙一重の戦いでもある。我々にも勝機が、どこかにピッチに落ちている。それを全員で拾っていきたい」。ロストフの奇跡を起こす。【八反誠】