サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会のポーランド戦でファインセーブを見せるなど、日本代表の先発GKとして君臨する川島永嗣(35)。前々回南アフリカ大会以来の決勝トーナメントは、ロシア大会目前、95歳で亡くなった最愛の祖母昌子さんにささげる大舞台だ。
「おばあちゃん子」そのものだったという川島。2007年、昌子さんが背骨の手術とリハビリのため、川崎市内の病院に入院すると、当時、所属していたJ1川崎Fの練習場と自宅の間にあった病院に毎日のように立ち寄った。さいたま市に住む父誠さん(69)、母法子さん(68)によれば、昌子さんは「寝ているのを起こされる」と言いながら、川島の訪問を心待ちにしていたという。
昌子さんは10年12月には、脳梗塞で倒れ、亡くなるまで長期の入院生活を強いられた。海外でプレーを続ける川島は帰国するたび、わずかな時間を見つけて訪問。昌子さんは寝たきりになっていたが、耳元で「来たよ」と報告した。
茶道を教えていた昌子さんは、孫の活躍を伝える新聞記事を集めて、弟子たちに見せていた。コミュニケーションが難しくなってからも、活躍ぶりを伝えると目を動かすしぐさをしていたという。ロシア大会の活躍も楽しみにしていたが、5月7日、亡くなった。
悲しい知らせに落ち込んだ様子だった川島は亡くなる約1カ月前、昌子さんの夢を見たという。フランスでのシーズン中で参列できなかった葬儀には、ユニホームが飾られた。W杯前に帰国した川島は、遺影に線香を手向け、活躍を約束した。誠さんは「おばあちゃんも応援しているから頑張れ」と送り出した。
決勝トーナメント1回戦は日本時間3日未明、強豪ベルギーとの対戦だ。「本当に心の広い祖母だった。全てを懸けて戦う姿を見てもらいたい」と川島は話す。日本のゴールを守る勇姿を天国に届ける。



