強国相手にはかく戦うべし-。FIFAランキング3位のベルギーが同2位のブラジルを2-1で倒して、86年メキシコ大会以来32年ぶりにベスト4に進んだ。日本戦での反省を生かした布陣で挑み、日本を地獄に落とした“悪魔のカウンター”を再現。最後の試合運びは日本にとっても示唆に富む戦い方だった。フランスも2-0でウルグアイに勝って4強入り。両雄は決勝進出を懸けて10日(日本時間11日)に対戦する。
確実に当てた-。
後半49分28秒。表示された5分の後半ロスタイムは、もう間近だった。ベルギーMFデブルイネは敵陣の右CK付近でクロスを上げた。得点を取るためではない。DFミランダに当ててCKにするため。目的を完遂した瞬間、両手を使ってサポーターをあおった。ブラジルに焦りを募らせた。
そのCKをデブルイネは、超ショートコーナーで味方に渡した。キープを選択し、中には放り込まなかった。3点目を求めない代わりに反撃も受けない。まるで日本を反面教師とするように。奪い返したブラジルに攻撃の時間はなかった。
確実に逃げ切った-。
「90分を通して相手を上回れた。この経験は人生であまりない」とデブルイネは胸を張った。8人で守り抜き、FWのE・アザールがドリブルで仕掛けてはファウルをもらう。日本戦とは逆の立場になったベルギーが90分間で見せた試合運び。それは日本に、先行した後の戦い方の手本を示してくれるようだった。“恩返し”と言わんばかりに。
サイドを突かれて2点を先取された日本戦の反省があった。基本の3バックを捨て、右のムニエを引き気味にした4バックに変更。「リスクを負ってギャンブルをした。ブラジルに勝つためには戦術的な優位性が必要だった」。マルティネス監督は、日本戦で結果を残したフェライニとシャドリも先発に抜てき。守備的MFだったデブルイネを前線に上げることができた。
それが、あの“悪魔のカウンター”を再現させた。
オウンゴールで先制して迎えた前半31分。相手CKからのこぼれ球をFWルカクが受けた瞬間が合図だった。加速し、引きつけてから右へパス。時間はかけない。そこにいたのがデブルイネだった。ルカクは倒れ、前に味方はいない。だから迷いなく右足を強振できた。鮮やかなミドル。「美しいことを成し遂げた」。
同監督は「ベルギーの全国の皆さんは、この男たちを誇りに思ってほしい」と呼びかけた。16年9月にスペインに敗れて以降、24戦無敗。黄金世代と称される赤い悪魔の「本気」は、王国ブラジルをも打ち破った。それは間違いなく、日本が火をつけたものだった。



