第21回ワールドカップ・ロシア大会は、フランスの5大会ぶり2度目の優勝で幕を閉じた。

 優勝したフランス代表の約3分の2が他国にルーツを持つ。ドイツ人の父とポルトガルがルーツの母を持つグリーズマンは「ルーツは違っても心は同じ。国のために全力を尽くす」と一体感を強調した。

 1970年代に黒人選手のトレゾールの代表入りで議論が巻き起こった。当時の代表は白人選手のみ。黒人選手の選出に国民から反対運動が起こった。初優勝した98年もアルジェリア系だったジダンらに対し、極右政党から「外国人が多すぎる」と非難が出るなど根深い問題だった。

 平均年齢25・6歳と若い世代にはルーツなど関係なかった。ギニア出身の両親を持つ25歳のポグバは、優勝後のロッカールームで40歳のマクロン大統領とダンスを踊るなど和気あいあい。父親がカメルーン出身のエムバペやカメルーン生まれのウンティティら陽気なアフリカ系選手が多いことで、強い仲間意識が芽生えチームが一致団結した。

 両親がアフリカ出身のマチュイディは「チームの多様性こそが、美しいフランスのイメージ」とまで言い切った。フランスメディアでは「苦難を耐え抜いた感動を国民が分かち合っている」と報道。1度目の優勝とは違った喜びが含まれている。