デシャン監督が後半10分にMFカンテを下げたことで、試合は大きく動いた。それまで、カンテはモドリッチを厳しくマーク。ただ、前半の警告がネックになっていた。1点リードも、仮に2枚目のカードをもらえば退場となり、フランスは数的不利になる。

 カンテの交代は、そのリスクを減らす狙いもあったはずだが、この采配で変化が起きる。直後から、モドリッチは積極的に攻撃の組み立てに絡みだす。後半10分から2、3分はクロアチアにリズムが生まれていた。攻撃へのスイッチが入ったことで、チームとして前がかりになった。

 右サイドの高い位置で常にカウンターを狙っていたのがエムバペ。DFビダが目を光らせていたが、この時間帯にスキが生まれる。14分、ポグバが50メートル超のロングボールを送り、エムバペは軽々と追いつき、グリーズマンを経由してポグバが仕留め、決定的な3点目を奪った。カンテの交代はクロアチアに有利に働く気配が漂ったが、実はポグバの抜け目なさは、その流れを逆手に取っていた。【井上真】