新型コロナウイルスの影響により通常よりも長いシーズンも残すところあと2試合となった。日本代表MF久保建英(19)とマジョルカは1部残留に向けて、グラナダ、オサスナ相手に最後の力を振り絞ることになる。

すでに乾貴士のエイバルが残留を決め、エスパニョールの2部降格が決まっているため、残留2枠をセルタ、アラベス、レガネス、マジョルカの4チームで争うことになる。

第36節終了時のマジョルカの成績は勝ち点32(9勝5分け22敗37得点61失点、得失点差-24)の19位で降格圏内。

セルタは勝ち点36(7勝15分け14敗35得点46失点、得失点差-11)の16位、アラベスは勝ち点36(9勝9分け18敗32得点53失点、得失点差-21)の17位で残留圏内。一方、レガネスは勝ち点32(7勝11分け18敗26得点49失点、得失点差-23)の18位でマジョルカ同様、降格圏内にいる。

4チームの残り2節の対戦カードを見てみると、マジョルカは10位グラナダ(ホーム)、11位オサスナ(アウェー)と対戦する。

そしてセルタは12位レバンテ(ホーム)、20位エスパニョール(アウェー)、アラベスは13位ベティス(アウェー)、2位バルセロナ(ホーム)、レガネスは8位ビルバオ(アウェー)、1位レアル・マドリード(ホーム)と戦うことになっている。

マジョルカの順位は4チーム中最下位で自力での残留の可能性はない。そのため残り2試合に勝利し、他がつまずくのを待つ必要がある。1勝1分けでも若干の可能性はあるが、いずれにしてもセルタとアラベスが1勝でも挙げた場合、勝ち点が39になるため、マジョルカとレガネスは無条件で降格が決定する。

またマジョルカは得失点差でも4チーム中最下位だが、スペインリーグでは最終的に勝ち点で並んだ場合、全体の得失点差よりも当該チームの直接対決の結果が優先されるため大きな影響はないだろう。これによりマジョルカはセルタと勝ち点で並んだ場合、直接対決の結果が1勝1分け(セルタ2-2マジョルカ、マジョルカ5-1セルタ)のため順位が上になる。

一方、2分け(アラベス2-0マジョルカ、マジョルカ1-0アラベス)のアラベス、1分け1敗(レガネス1-0マジョルカ、マジョルカ1-1レガネス)のレガネスと勝ち点で並んだ場合は順位が下になってしまう。

また、3チームが勝ち点で並んだ場合も当該チームの直接対決の結果が優先され、3チーム間のリーグ戦形式の総勝ち点で順位が決定する。マジョルカ、セルタ、アラベスが同勝ち点で並んだ場合、マジョルカは勝ち点7で1位、アラベスは勝ち点6で2位、セルタは勝ち点4で3位となる。

マジョルカ、セルタ、レガネスで並んだ場合、レガネスは勝ち点7で1位、マジョルカは勝ち点5で2位、セルタは勝ち点4で3位。マジョルカ、アラベス、レガネスで並んだ場合、レガネスは勝ち点6で1位、アラベスは勝ち点5で2位、マジョルカは勝ち点4で3位となっている。

4チームが勝ち点で並んだ場合も同様の形で順位が決まる。その場合、レガネスは勝ち点9で1位、マジョルカは勝ち点8(得失点差+2)で2位、アラベスは勝ち点8(得失点差-3)で3位、セルタは勝ち点7で4位となり、現在順位で下にいるレガネスとマジョルカの残留が決定する。

マジョルカの地元紙ウルティマ・オラによると、残り2節の時点でのマジョルカ残留の可能性はわずか8・08%。一方、残留圏内にいるセルタは91・62%、アラベスは90・55%となっており、数字的にマジョルカは非常に厳しい状況に置かれている。

他チームの結果に大きく依存するが、いずれにしてもマジョルカはまず、勝ち点32中勝ち点27を獲得している得意のホームで、16日に開催される第37節グラナダ戦に勝利する必要があるだろう。

グラナダは昨季2部リーグでも対戦した相手で、アウェーでは0-1で敗れ、ホームでは1-1で引き分けている。最終的にグラナダが2位で1部自動昇格を決めた一方、マジョルカは5位で1部昇格プレーオフを勝ち抜いた。また、今季アウェーで行われた前半戦の対戦でも0-1で負けている。

マジョルカはリーグ戦再開後の9試合、スペインビッグ3など強豪との対戦が多数残されていたため、2勝1分け6敗と勝ち点獲得で苦しんでいる。しかしホームでのここ2試合、セルタ、レバンテを撃破し、終盤に来て調子を上げている。

加えてリーグ戦再開後、特に不可欠な存在になっている久保のパフォーマンスの良さがマジョルカに大きな光を与えている。しかし、ほぼ3日おきに1試合というハードスケジュールの中、ここまでの9試合全てに先発出場し、前節セビリア戦で疲労の色が見えたことは懸念材料となるかもしれない。さらに重要な戦いを目前に控える中、ビセンテ・モレノ監督が来季に向け、すでにエスパニョールと新監督就任交渉を開始したというニュースが出ていることは、チームに大きな影響を与える可能性がある。

対するグラナダのリーグ戦再開後9試合の成績は3勝3分け3敗の勝ち点12。リーグ戦通算成績は36試合14勝8分け14敗で、クラブの1部リーグ史上最多となる勝ち点50を獲得し10位につけ、欧州リーグ出場の可能性が若干残されている。

ディエゴ・マルティネス監督指揮の下、2部リーグ時代の昨季から現在に至るまで、合計37試合(31勝6分け)で先制点を決めているが、一度も逆転されたことがない粘り強さが売りのチームである。またヘディングで1部リーグ最多の11得点を記録している。そして前節はホームで首位レアル・マドリードと対戦し、あと1歩で引き分けられるところだった(結果は1-2の敗北)。

他力本願で状況は非常に厳しいものの、マジョルカには残留の可能性がまだ残されている。スペイン初年度を過ごす久保の長いシーズン、その最後を締めくくるべく2試合に臨む。

【高橋智行通信員】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)