欧州CL決勝トーナメント1回戦ファーストレグで、トットナムに0対3の完敗を喫したドルトムントが、議論の対象になっている。

舞台となったのはドルトムントの選手、スタッフ、関係者らが宿泊していたホテル「ヒルトン・ロンドン・ウェンブリー」。大衆紙「ビルト」など複数ドイツメディアによると、同クラブの選手数人が試合前日の晩に、ロンドン在住の有名美容師シェルドン・エドワーズ氏を宿泊先へ招き、部屋での散髪を依頼したという。その場にいたのは、アクセル・ビツェル、ラファエル・ゲレイロ、アブドゥ・ディアロ、ダン=アクセル・ザガドゥ、そしてヤコブ・ブルーン=ラルセンら5人だった。

同紙によれば、最終調整とミーティングが終わった後にエドワーズ氏が訪れることを知っていたドルトムント首脳陣は一人もいなかったようで、要するに「大事な試合まで24時間を切ろうとしているのに、遠征先でわざわざ美容師をホテルに招いて散髪するな」というところが、このテーマの根幹のようだ。ただし、3対2で勝利した今季第11節Bミュンヘン戦、4対0という圧勝に終わった欧州CLのAマドリード戦の前にも、エドワーズ氏はドルトムントを訪れ、選手の散髪を行っていたという。

この事実を知ったハンス=ヨアヒム・バツケCEOはビルト紙に対し「髪を切ることが、チームのパフォーマンスに影響を与えることはないだろう。敗戦の原因はもっとスポーツ的な面にあり、我々はそれを客観的に分析していかなければならない」と前置きしながらも、「試合に敗れたこともあり、その前の晩に美容師をホテルに呼んだことについて批判的な目を向けられるのも当然だ。(SDの)ミヒャエル・ツォルクと(チームマネジャーの)セバスティアン・ケールは、該当する選手と今後話し合っていくだろう」とコメント。そしてバツケCEOから任務を受けたツォルクSDは「現在の我々は、マティアス・ザマーや私とは異なる世代の選手と仕事をしている。今の選手の(試合前日の)準備の仕方は、私やザマーが現役だった頃のそれとは明らかに違う」と、ジェネレーションギャップに触れつつ、「もちろん散髪のせいで試合に負けたわけではない。だが、このようなことは今後なくしていきたい」と話している。

同紙によると、宇佐美貴史が所属するデュッセルドルフのフリートヘルム・フンケル監督も15日、ブンデスリーガ第22節レーバークーゼン戦に向けた前々日会見に臨んだ際、この話題について「我々のチームでは、こういう問題は起きない。なぜなら私の選手は全員、地に足がついているからだ。確かに時代は変わった。しかし2人(ジェイドン・サンチョとディアロ)が(ロンドンへ飛ぶ際に)パスポートを忘れ、1人(エーマー・トプラク)が搭乗券をなくす…『欧州CLでトットナムと戦う』という気持ちはあるのだろうか?そして試合前日の20時に美容師を部屋に呼ぶことなどありえるのか?決して起こってはならないことだ。そもそも髪を切りに行く時間なんていくらでもある」と言及。宿泊先での試合前日の散髪に、否定的な見解を示した。

しかし一方、フライブルクのクリスティアン・シュトライヒ監督は「試合前日の晩に髪を切ったからって、『試合に集中できない』なんてことはない。むしろ真逆で、見た目が良くなった状態でピッチに立てること、そしてさらに良いサッカーをやってやろうと、選手は喜ぶんじゃないか?それとも我々は皆、いつも月曜日に髪を切りに行かなければならないとでも?」と話しており、今回のことは不問に付すべきだとしている。