広島のU-22(22歳以下)日本代表候補FW浅野拓磨(21)が、世界のスピードスターになる。今日13日のクラブW杯準々決勝、アフリカ王者のマゼンベ(コンゴ)戦(ヤンマー)へ、12日は大阪市内で最終調整を実施。10日の開幕戦では、浅野と同じU-22代表候補だったFW野津田が右膝に大けがを負うなどチームは非常事態。3年前はアフリカ王者に敗れ5位に終わった広島は、若きエース候補がクラブ初の4強進出へと導く。

 浅野の表情は充実していた。冒頭15分のみ公開された練習で軽やかなパス回しを披露。マゼンベとの一戦を前に「自分の持っているもの全て出せば、通用しない相手ではない」ときっぱり言い放った。

 開幕戦で同期の野津田が右膝を全治8週間、柴崎も左膝を全治3週間という大けがに見舞われた。故障者続出でFW佐藤が1トップ、浅野は左MFとして2列目での出場が濃厚だ。中2日の強行日程のため、途中出場の可能性もあるが「寿人さん(佐藤)を頼りにしながらやっていると、自分がシャドーでも生きてくる。お互いの良さを引き出すことができれば」。最前線の佐藤を追い越し得点を狙う。

 相手DFも追い越し、抜き去る。身長190センチを超える大型センターバックとの対決には「相手は反転するのが苦手な部分がある。そこを突いていけば」。50メートル5秒9のスピードで正面から勝負に挑む。12年大会では今回と同じアフリカ王者アルアハリに敗れ、5位に終わった。浅野は当時、四日市中央工3年。21歳の活躍次第で、前回の5位を追い抜く、初の準決勝進出も可能だ。

 森保監督は「新たな歴史を刻むのにマゼンベに勝って1つ上にいきたい」。今季J1で新人賞にあたるベスト・ヤングプレーヤー賞を受賞した浅野は、リオ五輪のエース候補だ。野津田が五輪最終予選も絶望となっただけに、より責任感が生まれた。「岳人(野津田)はもう出られない。(その分も)いつも通りのプレーが表現できれば」。仲間の思いも背負って、浅野がピッチに立つ。【小杉舞】