欧州王者Rマドリード(スペイン)のFWクリスティアノ・ロナルド(31)が、クラブでのキャリア通算500得点となるメモリアル弾で決勝に導いた。北中米カリブ海代表のクラブ・アメリカ(メキシコ)に2-0。4度目の「バロンドール」に輝いたロナルドは好機でなかなか得点を奪えなかったが、チーム最多9本のシュートを放ち、終了間際にゴールを決めた。2年ぶりの優勝を懸け、18日の決勝(日産ス)でJ1王者の鹿島と対戦する。

 お騒がせなメモリアル弾に、5万超えの観衆が一喜一憂した。ロスタイム3分を目の前にした47分55秒。ゴールエリア右角から右足でゴール左隅へ突き刺した。スタンドが沸いた数秒後、プレーが止まった。オフサイドの疑いでビデオ判定となり、ロナルドは心配顔になった。ゴールが認められると、会場はざわめきと歓声が交錯した。02年のスポルティング(ポルトガル)からクラブで積み上げたゴール数は実に500発。Rマドリードでは1試合平均1・03得点と、驚くべき数字を残している。

 再三の好機を逃した。FK2本は壁に阻まれ、前半26分はヘディングが左ポストをたたいた。後半15分にはペナルティーエリア内でフリーになる絶好機を迎えたが、バスケスのパスをダイレクトで放ったシュートをGKにはじかれた。同20分にDFカルバハルのクロスにフリーでヘディングも、きれいにミートしなかった。両手を腰に当てて天をあおぐなどフラストレーションがたまったしぐさも見せたが、最後の最後でチャンスをものにした。

 OBのジダン監督からは「彼がクラブ歴代最高の選手といっても過言ではない」と絶大な信頼を得ている。日々の練習でもグラウンドに一番乗りし、最後まで残ってFKを蹴る。来日後も、他の選手より早くピッチに姿を現した。4度のバロンドールという勲章の陰では、一サッカー選手として地味な作業を重ね、30歳を超えた今も世界最高の選手であり続けている。

 才能におぼれない人間性はピッチ外でも見て取れる。時にユニホームを脱ぎ捨ててゴールパフォーマンスをするが、体にはタトゥーが一切ない。欧州では多くのサッカー選手が入れるが、それをしないのは献血ができなくなるからだ。自らのSNSでも「私は子どもたちのために定期的に献血を行うので、タトゥーは入れないと決めている」と明言している。嫌みのない姿が、世界中のファンに受け入れられる理由だ。

 14日には鹿島のFW鈴木が準決勝でロナルドをまねたパフォーマンスをしたが、本家は会心のポーズを披露した。2年ぶりのクラブ世界一はすぐそこだ。かかってこいとばかりの雄たけびが、日産スタジアムの夜空に響いた。【岡崎悠利】