W杯本番を前に、日本代表のサイドアタッカー戦線に異状あり-。欧州リーグ第2節1次リーグが15日(日本時間16日)に欧州各地で行われ、E組のレアル・ソシエダードMF久保建英(21)がホームのオモニア戦(キプロス)で決勝点をアシストし、2-1とチームに勝利をもたらした。今季は新天地で輝きを放っている。一方で、G組のフライブルクで好調のMF堂安律(24)はオリンピアコス(ギリシャ)戦で負傷した模様。H組のモナコに籍を移したMF南野拓実(27)はフェレンツバロシュ(ハンガリー)戦に出番はなく、苦しい時間を過ごす。代表では控えに甘んじてきた久保が、序列をひっくり返すかもしれない。

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SNSで「タケさん完璧」と声が上がった。Rソシエダードの久保がオモニア戦で輝きを放った。1-0の後半16分、2トップの一角として途中出場。1-1の後半35分だった。自陣から浮き球のスルーパスで右サイドを抜けだし、右足で相手DFの股を抜くスルーパスを中へ供給。チームを開幕2連勝に導く、鮮やかなアシストを決めた。

今夏、Rマドリードから完全移籍。リーグ開幕戦(対カディス)では、移籍後初得点でチームを勝利に導いた。ここまでリーグ戦全5試合に出場。4試合でスタメンを飾るなど、存在感を色濃くしている。右ウイングだけではなく、トップ下、最前線と新たなポジションで自身の幅も広げる。

久保と同じく好調のフライブルグ堂安は、手痛い故障に見舞われた。オリンピアコス戦に先発。後半24分に途中交代するまで、右サイドを主戦場に、チームの3-0の快勝に貢献した。だが地元紙によれば、堂安は足を痛めた模様で、シュトライヒ監督は「彼は病院に行かなければならない」と明かした。今週末の試合は欠場の見通し。ここまで公式戦全9試合出場で4得点。結果を残しているだけに、早期復帰が望まれる。

また、堂安以上に状態が不安視されるのが代表では主力の南野。今夏リバプールから移籍したモナコでは、不本意な時を過ごす。この日はベンチ入りも出番なし。リーグ戦全7試合中、3試合出場にとどまり、移籍後初得点は遠ざかる。日本代表では控えに甘んじていた久保と堂安に比べ、試合勘が圧倒的に少ない。

南野と同じ左ウイングを主戦場とする三笘も、今夏復帰したブライトンでベンチを温める日々。リーグ戦全6試合中、4試合出場でプレー時間は全て30分以下と限られている。

前回のロシアW杯では、序列がひっくり返った例がある。直前のパラグアイとのテストマッチで、それまで主力ではなかった乾(現清水)が2得点と躍動。本大会でも起用され、セネガル、ベルギー戦でも得点を挙げた。その時、最も活きの良い選手を-。

久保はW杯アジア最終予選でスタメンはわずか2試合。W杯を決めたアウェー・オーストラリア戦も出番なし。堂安は3月の代表活動で招集外。「逆境大好き人間頑張まーす!」と自身のツイッターでつぶやき、見返すだけの数字を積んできた。W杯前、最後のテストの場となるドイツ遠征(23日米国戦、27日エクアドル戦)。今バズっている選手を先発で見てみたい。【栗田尚樹】