止まらない! ブライトンの日本代表MF三笘薫(25)が、公式戦3戦連発でまた魅せた。

0-0の後半終了間際。左サイドからのクロスにニアで合わせ、プレミア初得点以来となるヘディング弾で決勝ゴールを揺らした。直近のリーグ戦では5試合で4得点を重ね、今季5点目。“ここぞ”で力を発揮してきたJOKERからエースへ-。“これぞ三笘”というゴールを重ねていく。

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「今日はミトマジックは厳しいか…」と思われた0-0の後半42分だった。左からのクロスに、三笘がニアで合わせた。下がりながらのヘディング。FW顔負けの技ありの一芸で、ボールはGKの手をかすめてゴールニア上へ吸い込まれた。「弱く当たったのが良かった。入りそうな感じはあった」。先週のFA杯リバプール戦のロスタイム弾をほうふつとさせる、“ここぞ”で三笘だった。

まさか! の頭だった。「自分にとっては驚きだった。ヘディングは得意じゃないから」と笑ってみせた。確かに、プレミア初得点以来の珍しいヘディング弾。それでも、川崎Fの下部組織時代から三笘のプレーを見続けてきた元強化本部長の庄子春男氏(65)は笑った。「謙遜していたね。そりゃ、彼はドリブラーだからね。どちらかと言えば、ヘディングを練習していなかった。でも見れば分かるように、もともとジャンプ力はすごい。ヘディングも強いよ。まだまだ天井じゃないのよ」と、先が見えない能力の高さを指摘した。

人が想像つかない“ここぞ”で力を発揮してきた。川崎U12時代に参加した海外遠征。年上のブラジル人選手3人を振り切った姿に、当時から「あれは誰?」と世界を驚かせた。川崎U18時代には、トップチームの練習に加わり、新潟のトップチーム相手に、1ゴール1アシスト。そして、記憶にも新しい昨年のW杯カタール大会スペイン戦。「三笘の1ミリ」と呼ばれる劇的アシストを生むなど、伝説を残してきた。

JOKER。気づけば呼ばれていた。ただ、それはもう過去のもの。「毎試合決める意識でやっているし、どんどん乗ってくるところもある。プレッシャーもうまく楽しめている」。“ここぞ”で“これぞ三笘”を重ね、目指すは日本のエース。その日は、もうすぐ訪れそうだ。【栗田尚樹】

<三笘の直近2試合のスーパーゴール>

◆ミドル 1月21日リーグ戦レスター戦で、前半27分に左サイドからカットイン。ペナルティーエリア手前の左45度から右足を振り抜き、ゴール右隅上へ突き刺した。

◆右足アウトサイド 1月29日のFA杯リバプール戦の後半ロスタイム。左からのクロスをファーサイドで受けると、右足アウトサイドでトラップし、右に持ち出した。すぐさま右足でキックフェイントしてチョンと浮かせ、左へ切り返すと、右足アウトサイドでボレーシュートを沈めた。

▽ブライトン・デゼルビ監督 三笘は最高な選手だ。彼の生まれ持った才能によるもの。親御さんに感謝を示したい。彼をベンチへ下げるなんて絶対にできない。なぜなら、いつだって1得点は期待してしまうからね。

 

○…ブライトンは、三笘のプロ1年目の20年夏に、獲得のオファーを出していた。関係者によれば「ブライトンが一番早かった。他のクラブも、三笘には関心を寄せていたけど、熱が違った」と言うだけあり、筑波大時代から動向を注視していたという。三笘自身が「Jリーグで結果を出してから海外挑戦したい」という意向もあり、一時は断念。それでも、以降も精力的なオファーを続け、21年に晴れてブライトンの一員となった。