フィンランド人実業家トーマス・ジリアカス氏(69)が、マンチェスター・ユナイテッド買収のためのオファーを撤回。買収プロセスが「茶番」だと、ESPNの取材に対して語った。

クラブの半分を購入し、残りの半分をファンが所有するという計画を練っていた同氏は、2回目の入札でオファーを出した。

しかし、このソーシャルメディア企業「novaMグループ」創設者兼会長は、マンチェスターUのオーナー、グレイザー家の代理人である米投資銀行レイングループが3回目の入札を求めることを示唆したため、これ以上、買収プロセスに参加しないことを決断した。

情報筋がESPNの取材に語ったところによると、グレイザー家はユナイテッドの価値を60億ポンド(約1兆円)と評価している。現時点で少数出資を希望する米国のヘッジファンドからの関心もあり、一方で完全買収をもくろむ入札者の間では、グレイザー家が本気で売却するつもりはないという懸念も強まっている。

ジリアカス氏は「私は(入札の)第3ラウンドには参加しないことにした」「入札は、グレイザー家が金額を60億ポンドへ引き上げることだけに使われている。茶番だ」などと話した。

ジリアカス氏は、カタールの銀行家シェイク・ジャシム氏、英化学大手イネオスのオーナーであるジム・ラトクリフ氏とともに、オファーを公開した3人いる入札者のうちの1人。ESPNによると、レイングループと交渉している別の5人の入札者(現時点で非公開)がいるという。

ジリアカス氏は「彼ら(グレイザー家)は3つの真剣な入札をテーブルの上に置いている。シェイク・ジャシムのもの、ジム・ラトクリフのもの、そして私のものだ。正しい方法は、我々3人と交渉することであり、全員にもう1度新しい入札を要求することではない」と話した。

一方、サポーターの団体であるマンチェスター・ユナイテッド・サポーターズ・トラスト(MUST)は13日、クラブに身売りプロセスを加速するよう促した。

MUSTは声明を出し「昨年11月にグレイザー家がクラブ買収のオファーを募っていると発表したとき、MUSTはそのニュースを歓迎し、不透明な期間をできるだけ短くするために、過半数のオーナーにプロセスを迅速に進めるように促した」

「テンハグ監督が最初のシーズンでチームに素晴らしい進歩をもたらし、重要な夏の移籍市場を数週間後に控える中、このような遅延のニュースやさらなる長引く不確実性は大きな懸念材料だ」

「エリックは、必要とする選手を獲得するために、クラブにどのようなリソースがあるのか知る必要があり、クラブの全資源は、彼をサポートするために集中される必要がある」

「私たちは新しい投資を切実に必要としており、それには間違いなく新しい所有者が必要です」などと強調。いち早く新オーナーが決まることを願っていた。