【サンセバスチャン=高橋智行通信員】レアル・ソシエダードのMF久保建英(21)が、ホームのアルメリア戦で今季9ゴール目となる決勝点を決めた。

前半終了間際の左足で1-0に貢献。リーグ4位の好調チームに欠かせない存在として、日本人未踏の2桁得点に王手をかけた。6月に2試合を戦う日本代表への選出は確実な中、求められる「個」で輝いた。代表メンバーは25日に発表される。

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久保の左足が輝いた。前半ロスタイム4分、右サイドから中央へ持ち込み、フェイントでDFをあざむきながらゴール左上を射抜いた。久保が地元紙に語る。「たぶんロッベン」。カットインから強烈な左足を得意とした元オランダ代表ロッベンを参考にしていた。得点後はポルトガル代表ロナウドのゴールパフォだ。「考えていなくて『何かしないと』と思って。パッと思い浮かんだ」。マン・オブ・ザ・マッチも今季9回目。見慣れた光景だった。

一夜明け、地元紙からチーム唯一の最高点で評価された。「魔術師」「独壇場」の文字も躍る。自ら持つスペイン1部の日本人シーズン最多得点も更新した。2桁得点が目前となり「あと1点と言わず2点、3点と、チャンスがあれば狙っていきたい」。節目の10発すら通過点と位置づけた。

ここまで9ゴール4アシスト。2度のPK誘発を含めれば今季15点に関与している。シーズン前、自身に課したのは得点とアシストで計20。飛躍にも「直接的な関与という意味では5点足りないので何とか届くように」。直近2季で1得点ずつだった男が、今やチームの得点源になっている。

進境も著しい。マッチアップしたDFアキエメは世代別のスペイン代表経験がある25歳。アフリカの赤道ギニアにルーツを持つ、身体能力自慢をドリブルで翻弄(ほんろう)した。「リーグの中でもレベルが高いサイドバックの1人だと思うけど、いい勝負ができていた。1対1の縦の部分は特に自信になった」。技術には定評あったが、スピードとフィジカルでも勝負できるMFに変貌している。

25日に発表される日本代表への選出は言うまでもなく、新たな景色へ導ける決定力がある。19年6月に、高校3年でA代表デビューした相手エルサルバドルとの再戦も待つ。当時は出場だけで沸かせたが、今は役割が異なる。日の丸を背負ってもゴールを量産する姿に大きな期待を抱かせる。

【動画】久保建英が強烈ゴラッソ 得意の左足で決勝ゴール

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