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注目選手

跳躍 醍醐直幸

写真:醍醐直幸

 アルバイトをしながら競技を続けた苦労人が、目標の2メートル35センチ超えと初のメダル獲得を狙う。

 予選落ちに終わった北京五輪から1カ月後の08年9月、東京高陸上部のコーチ飛田奈緒美さんと結婚。奈緒美さんは、06年日本選手権の3段跳びで4位に入賞したほどの現役トップアスリートで、競技面でも助言をもらえる良きパートナーだ。出会ったのは99年。「苦しい時の自分も知っているし、動きの変化も良く分かっている」。大学卒業後に実業団から声が掛からず、アルバイトを続けているときも支えてくれた女性だ。

 アルバイトをしながら競技を続けた時代は朝6時半から働き、午後からは練習の日々。月収は5万円ほどで、交通費にも事欠いた。ようやく結果が出たのが05年。大阪選手権で2メートル27を跳び脚光を浴びた。翌年には富士通に加入し、2メートル33の日本新記録も樹立した。高跳びにかける気持ちだけは誰にも負けない。反骨心でチャンスをものにしてきた。奈緒美さんも「高跳びへの情熱は素晴らしかった」と認める。

 今年の日本選手権では2メートル24で優勝し、復調を見せている。直後に第1子も誕生した。持ち前の反骨心に、守るべき家族の力が加われば、過去2回のように予選落ちで終わることはないはずだ。

醍醐直幸(だいご・なおゆき) 1981年(昭56)1月18日、東京都生まれ。中学時代に180センチを超える身長を生かすため高跳びを始める。野津田高2年の97年にアジア・ジュニアで2位、東海大1年の99年には優勝した。03年に日本選手権初優勝。06年に富士通入社し、09年の日本選手権では2メートル24を跳び、5度目の優勝。184センチ、64キロ。

自己ベスト 2006年7月2日 日本選手権 2メートル33(日本記録)
主な戦績 2005年 世界陸上ヘルシンキ大会 予選落ち
2006年 アジア大会 3位
2007年 世界陸上大阪大会 予選落ち
2008年 北京五輪 予選落ち

跳躍 沢野大地

写真:沢野大地

 6月の日本選手権で4年連続8度目の優勝。日本には追随される相手はいない。その美しい跳躍は「エアー大地」と敬意を込めて呼ばれる。男子代表の主将に選ばれた男が表彰台を狙う。

 これが4度目の出場となる。過去3回の最高成績は05年の8位。03年は決勝に進出したが、練習中に両太ももを痛め、悔し涙を流しながら棄権。07年も右足にけいれんを起こして棄権。日本陸上界の「救世主」と期待されながら、故障で結果を残せない。自己ベストは5メートル83だが、大舞台ではその記録に迫れないでいる。

 足がけいれんする原因は、過度の緊張から安定しない精神面。それを克服するために始めたのが「おまじない」だった。スタート前に人さし指を胸の前から天に突き刺し、胸に戻すポーズ。それが不思議と落ち着きを与えてくれ、足がけいれんする気配が消えていった。

 今年3月には心機一転をはかり、03年から所属したニシ・スポーツとの契約を解除。いままでのパワー重視の助走を自然体に変えた。異分野のアスリートと交流し、勝ちを目指す姿勢に刺激も受けた。今季初戦のマウント・サンアントニオ大リレーでは5メートル70センチを跳び優勝と成果が出始めている。課題の精神面を克服した今なら、大舞台でエアー大地が輝きを放つことができるはずだ。

沢野大地(さわの・だいち) 1980年(昭55)9月16日、大阪府生まれ。成田高2、3年に高校総体を連覇、国体も制した。日大1年の99年に日本選手権初優勝。ニシスポーツに所属後の03、04年はともに日本新記録を更新して連覇。アテネで五輪初出場、20年ぶりに決勝進出を果たし13位に入った。05年の静岡国際で5メートル83の日本記録をマーク。06年にはプラハ国際で主要国際大会を初優勝しW杯2位、世界ファイナルで6位に入った。09年日本選手権で4年連続8度目の優勝を飾った。09年3月にニシ・スポーツと契約を解除している。182センチ、72キロ。

自己ベスト 2005年5月3日 静岡国際 5メートル83(日本記録)
主な戦績 2003年 世界陸上パリ大会 決勝棄権
2004年 アテネ五輪 13位
2005年 世界陸上ヘルシンキ大会 8位
2006年 ワールドカップ 2位
2006年 ワールド・アスレチック・ファイナル 6位
2007年 世界陸上大阪大会 予選落ち
2008年 北京五輪 予選落ち






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