視線はロンドンへ。陸上の世界選手権(ドイツ・ベルリン)に出場していた福島千里(21)と寺田明日香(19=ともに北海道ハイテクAC)が25日、帰国した。福島は女子100メートルで日本勢初の2次予選に進出。日本人女子として56年ぶりに同種目に出場した昨年の北京五輪から着実に成長を見せた。12年ロンドン五輪に向け、海外遠征に意欲的な姿勢を見せるなど、早くも次の目標を見据えた。

 大きなバッグを抱えて成田空港に到着した福島は、笑顔で大会を振り返った。「良かったです。全体的に」。世界選手権の100メートルで日本勢初の2次予選進出、五輪を含めた世界大会でも1932年のロサンゼルス五輪の渡辺すみ子以来となる77年ぶりだった。快挙を成し遂げ、自信とさらなる向上心が芽生えた。

 昨年の北京五輪では予選で敗退した。今大会で1次予選を通過と1つ目標をクリアした。「北京から1歩進んだ。良かっただけに欲が出てきた」と話す。今後に向けては、中村宏之監督(64)と相談しながら決めていくことを前提にした上で「大会に出場できて良かったし、感じました。もっと世界の強い選手たちと戦っていきたい」と、積極的に海外に出ていきたいという気持ちも口にした。

 今大会、中村監督は帯同しなかったが、2次予選後には「大会後も海外のGPに1人で行かせたい」とも話していた。11年にはアジア選手権(神戸)、世界選手権(韓国)がある。海外でのレースも視野に入れながら、目標とするロンドン五輪をはじめとしたビッグ大会に向ける。

 「世界のファイナリストの道は長いですね。1歩ずつです」。ベルリンで1歩階段を上がり、帰国直後の今は「ラーメンが食べたいなぁ」と、ホッとした表情も見せた。今後、北海道で調整し、9月のスーパー陸上(神奈川・等々力)が最初の大会になる予定だ。【上野耕太郎】