男子200メートルのサニブラウン・ハキーム(16=東京・城西高2年)が、準決勝で敗退した。

 向かい風0・2メートルの中、2組で20秒47の5着だった。

 ビッグサプライズから一夜明けての準決勝。失う物は何もない。20秒34の自己ベストは準決勝24人中最下位で、いわば全員が格上。レーンは予選と同じ大外の9レーンで、再びガトリンが同組だ。「もっとタイムは出るかなと思う」と大物食いを狙っていた。大外の9レーンから先頭のガトリンを追ったが、離された。内側のレーンを世界の猛者たちが駆け抜ける。「ラスト50メートルは置いていかれるのがわかった。へばりました。予選を1本走って見えない疲労があった。楽しかったけど、勝負できたらもっと楽しかった」。涙はないが、満足感もなかった。

 16歳5カ月での出場自体が、この種目で世界選手権史上最年少記録。さらに決勝には、偉業がかかっていた。03年パリ大会でボルトがつくった18歳355日での最年少決勝進出記録の更新だ。チャレンジャーとして全力で走ったが“ボルト超え”はならなかった。

 初のシニア大会だった今年5月の静岡国際では、当時自己ベストの20秒73をマークして、日本選手権を視野に入れた。そこからわずか3カ月。日本どころか、世界のファイナリストの仲間入りを目指すまで急成長した。「ボルト選手と走れなくて、悔しい。来年に持ち越しということで」。次は五輪というスポーツの祭典で「人類最速の男」と全力勝負するつもりだ。