ニューイヤー駅伝は来年1月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。連覇中のトヨタ自動車は前回エース区間を走った窪田忍(25)を故障で欠くが、その他の選手の頑張りで01~03年のコニカ(現コニカミノルタ)以来、14年ぶりの3連覇を狙う。

 3連覇の鍵を握るのが、最長区間の4区(22・0キロ)候補の新人・服部勇馬(23)と、主将の大石港与(28)だ。2年連続4区を走った窪田が故障で今大会のエントリーから外れて戦力ダウンは必至だが、それを服部と大石という2人の戦力がカバーする。

 服部は東洋大で箱根駅伝エース区間の2区を3年連続で走り、3年時と4年時には区間賞を獲得した。今シーズンは前半こそもたついたが、卒業後初レースとなった9月の全日本実業団5000メートルで日本人2位と、苦手の短い距離で予想以上の好走を見せた。10月には1万メートルで自己記録の28分09秒02に肉薄する28分09秒74をマーク。さらに11月の中部実業団駅伝は最長区間の4区で区間賞を取った。服部本人は実業団初駅伝を「後半は自分の走りがきなかった」と納得していないが、佐藤敏信監督は「駅伝デビューとしては合格点」と評価した。来年2月にはロンドン世界陸上代表入りを狙って東京マラソンを走る。そのため11月はマラソン用の長い距離の練習もしながらの出場だったが、駅伝への対応力も見せた。服部は「(ニューイヤー駅伝は)どの区間になっても、区間新、区間賞を狙っていきます」と3年連続の“正月の駅伝区間制覇”に意欲的だ。

 大石は服部とは対照的に、トヨタ自動車入社後に少しずつ強くなってきた選手だ。人よりも早く朝練習を始めるなど見えないところで努力を積み重ね、今年11月には1万メートルで27分48秒56と、今季日本人3番目の好タイムをマークした。

 前回のニューイヤー駅伝では3区で区間3位、その前年は5区で区間賞を獲得してチームの優勝に貢献した。「5区には5区の、3区には3区の、そして4区には4区の楽しみがあります。どの区間でもいいのですが、僕が(最長区間の)4区でも十分に行けます」。冗談めかして話す中にも王者チームの主将としての自信とプライドを見せる。

 2人以外にも有力選手が多数いる。佐藤監督から「駅伝男」と言われる田中秀幸(26)は前回、前々回のニューイヤー駅伝6区でともに区間賞を獲得している。2年前にアンカーで区間賞を取った早川翼(26)も毎年自己記録を更新し、1万メートルでチーム最高記録を持つ宮脇千博(25)も不調を克服してきた。

 昨年は6区終了時に2位のコニカミノルタに33秒差をつけて勝利を確実なものとした。選手層の厚さが武器の王者が今回も同じ展開に持ち込めば3連覇の可能性は高い。