日本人悲願の9秒台にダークホースが急浮上した。多田修平(20=関学大)が男子100メートル準決勝で追い風4・5メートルの参考記録ながら9秒94をマークした。電気計時での9秒台計測は桐生祥秀(東洋大)とケンブリッジ飛鳥(ナイキ)に続く3人目、国内のレースでは日本勢初だった。追い風1・9メートルの決勝は日本歴代7位に並ぶ10秒08で優勝。8月の世界選手権(ロンドン)の参加標準記録10秒12を突破し、代表争いに名乗りを上げた。

 世界選手権の男子100メートル代表は最大3人。代表枠争いは一気に激しくなった。今季3度の10秒0台と好調を維持する桐生、右足首の状態の不安こそあるが、安定した力が持ち味の山県、追い風5・1メートルの参考記録ながら9秒98を4月にマークしたケンブリッジ。そして今回の多田。参加標準記録10秒12を突破しているのは5人いるが、日本選手権(23~25日、大阪・ヤンマースタジアム長居)の100メートルにエントリーしていない飯塚を除く4人の中から1人は落選することになる。

 日本選手権で優勝ならば内定。3着以内に入れば、選考条件を満たす。15年の世界ユース選手権2冠を達成したサニブラウンは100メートル、200メートルともエントリーしている。日本選手権はハイレベルな争いで、9秒台の期待も高まる。