24日朝に肺炎のため、80歳で亡くなった女子マラソンの陸上競技指導者・小出義雄さんの通夜が28日、千葉・さくら斎場で営まれた。

03年世界選手権銅メダルの千葉真子さん(42)、97年世界選手権金メダルの鈴木博美さん(50)ら約1000人が参列した。祭壇は何度も高地合宿を繰り返した米ボルダーの雪山のイメージされた。遺影は小出さんが生前、「何かあったら使ってくれ」と家族に頼んでいたというお気に入りの一枚。斎場の中には、思い出の写真、00年シドニー五輪時に渡されたメッセージ入りの日の丸も飾られていた。

千葉さんは「いまだに信じられない。現実のことと捉えられない。心にポッカリ穴が開いたような気持ち。監督に教えていただいたことは私の中で生き続ける。監督の魂を受け継いでいきたい」。当初の「走れば、走る程、成績が落ちていた。自分自身が諦めていた」時期も「あと2回だめなら引退」と考えていた時も小出さんは親身にメニューを考え、可能性を信じてくれた。「千葉ちゃんならすぐ(2時間)26台が出るよ」「一緒に頑張ろう」「できるよ。できるよ」と言い続けてくれていたという。歩んだ先に世界選手権の銅メダルがあった。「いち若い選手の夢をかなえてくださった」と涙した。

鈴木さんは「私が他企業なら金メダルを取って終わることはなかった。20代前半で辞めていた。心づもりはしていましたが、寝ている姿を見て『鈴木、ジョギング行くぞ』と今にも言うように見えて。信じられない」と悼んだ。練習嫌いだった自分を叱らず「俺がお前だったら」と前置きし、才能を認め、モチベーションを上げてくれていたという。今は中学生2人の母。鈴木さんは子育ての事も相談していたという。「子どもを怒らず育てろよ。自分のことを思い出してみろ。おのずと育て方が分かるはずだ」などとの助言も受けていた。競技以外でも大切な恩師だった。

29日の葬儀・告別式では高橋尚子さん(46)らが弔辞を読む。