駒大が5時間12分58秒で2連覇を達成した。一時は11位まで順位を落としたが、エース田沢廉(3年)が7区で4位から一気に首位に立ち、逆転に成功。アンカー花尾恭輔(2年)が逃げ切った。一部主力メンバーをケガで欠いたが、大八木弘明監督(63)の采配がズバリ的中し、歴代最多を更新する14度目の優勝。3年ぶりVを目指した青学大はわずか8秒差で2位。3位は順大で、出雲駅伝Vの東京国際大は5位だった。8位までが来年のシード権を獲得した。

    ◇    ◇    ◇

駒大のアンカー花尾は残り2キロでスパート。高々と両手でVサインしながらゴールテープを切った。青学大・飯田に並ばれたが我慢強く並走し、突き放した。2位の青学大とは8秒差。史上最小差の激戦を制した大八木監督は「冷や冷やしたよー」と言いながらも、花尾と笑顔で抱き合った。

大八木監督の采配がさえ渡った。前年、最終8区の田沢がアンカー勝負を制して優勝したが、今年はあえて田沢を7区に起用した。「田沢をアンカーに持っていけば、その前にかなり離されると思った。その手前で食い止めないといけない。8区に安定した花尾を置き、田沢で何とかトップにいけば逃げ切れる」。

その裏には苦しい台所事情があった。鈴木芽吹(2年)ら主力メンバーに故障者が続出した。出場した8人中4人が大学駅伝初出場。4人を前半に集中させ、後半勝負の作戦を立てた。初出場の選手にプレッシャーをかけないよう目標は「3番以内」に修正した。

1区の佐藤条二(1年)は区間新記録をマーク。一時は11位まで順位を下げたが、7区の田沢にタスキを渡した時点で1分36秒差の4位。大八木監督は「(4区の)赤星らがよく諦めずに頑張ってつないだ」と手放しで褒めた。後輩らの頑張りが、首位の座を奪うエース田沢の区間賞の快走につながった。

大八木監督は箱根駅伝に向けて「当然、連覇、勝ちにいく計画を立てながらやっていく」と宣言。田沢は「今回、主力がいない中で優勝した自信は本当に大きい」と手応えを口にした。流れも勝ち方もいい。好ムードの中、箱根駅伝2連覇を目指す。【近藤由美子】