6度目の総合優勝を狙う青学大が、2年ぶり5度目の往路優勝をつかんだ。歴代2位の5時間22分6秒だった。

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4区で主将の飯田貴之(4年)が11月の全日本の借りを返す好走を見せた。タスキを受け取った時点で、2位東京国際大との差は12秒。その差を1分37秒に広げ、往路優勝を引き寄せた。

「迷わず攻める」。そう決めたのは苦い経験からだった。全日本でアンカーを務めたが、駒大に8秒差で競り負け、優勝を逃した。「間違いなく、今までの人生で1番悔しかった経験」と振り返る。ゴール直後は号泣。「勝手に主将の重圧を感じてしまっていた」と落ち込んだ。原監督から「これを食って次勝て」と、東京に戻る新幹線の車中でカツサンドを渡され、「迷ったら攻めろ」とアドバイスされた。

OBの先輩からも続々と連絡を受けた。昨年主将を務めた神林勇太さんの言葉が響いた。「最後、悔いないようにやるのは、自分の走りをするしかない。最後の箱根は自分がしたいようにすればいいと思う」。周囲の励ましで前を向いた。

主将の自覚から、陸上に持てる時間を費やした1年だった。昨年大会ではゴール後、立てなくなり、翌日に両足の股関節付近4カ所の骨折が判明。3月まで走れなかったが、その間も可能な範囲で筋トレを行った。空いた時間はなるべく体のケアに充て、練習がない日もトレーニングした。息抜きだったゲームをやる時間も昨年より半分以下に減少。「陸上に一番時間をかけてきた自信はある」と言い切るほど、万全の準備を進めてきた。

今も全日本の映像を見られない。「最高の形で終わることができれば、全日本の経験があるから、今があると言えると思う。そうなれば、あの時の映像を見返せるようになると思う」。復路は主将としてチームを鼓舞し、優勝をつかんで、苦い思い出を乗り越える。【近藤由美子】