女子長距離界のレジェンドが、22年間の陸上競技人生にピリオドを打った。青森県板柳町出身で1万メートルとマラソンで五輪に4大会連続出場した福士加代子(39=ワコール)が、大阪ハーフマラソンに出場。スタンドの観客に笑顔で手を振りながら1時間16分04秒の30位でゴールし、引退レースを完走した。

天国と地獄を経験した大阪を、かみしめるように走った。大阪国際女子マラソンは13年に初優勝。16年には自己ベストの2時間22分17秒で2度目の女王に輝いた。ただ、初マラソンの08年には大失速、19、20年は途中棄権と悔しさも味わってきた。ハーフの自己ベストから10分近く遅れたが「私の中で精いっぱい頑張った」と胸を張り、「大阪の街はいろいろな思い出があり、走りながら『こんなこともあったな』とか思い出しました」と振り返った。

レース後には引退セレモニーが行われ、高橋尚子氏、野口みずき氏、渋井陽子氏ら豪華メンバーが福士に花束を贈呈した。両親や五所川原工時代の恩師、安田信昭さんも駆けつけ、最後の瞬間を見届けた。引退後もワコールに残り、陸上の普及活動に取り組んでいく予定だ。「福士加代子ファンのみなさん、本当に最高です! ありがとうございました」。最後まで笑顔満開だった。