女子1万メートルで日本歴代2位の30分45秒21を持つ不破聖衣来(19=拓大)は、同種目での世界選手権出場が絶望的となった。7日、拓大女子陸上競技部のツイッターを通じて五十嵐利治監督が日本選手権1万メートルの欠場を発表した。股関節周りの右梨状筋故障による調整不足が理由で、「不破聖衣来の将来のことを考えて欠場する判断をしました」と報告した。

1月の都道府県対抗駅伝後に、駅伝シーズンの疲労なども影響して右アキレス腱(けん)周囲炎を発症した。3月末まで歩行もままならない状態で、練習再開は4月上旬だった。同17日の日本学生個人選手権は5000メートルに出場。1キロ3分30秒のペースを愚直に守り、最下位で完走したが、調整遅れが懸念されていた。

五十嵐監督はツイッターで「周りからはもう厳しいだろう? とか無理なんじゃないか? という声は聞こえて来ましたが、それでも『1%の可能性に対して100%の努力』をする聖衣来を間近で見ていて4月の段階でもう今回は諦めようとは言えませんでした」と葛藤を吐露した。

6月には、今回の1万メートルを除く種目での日本選手権(大阪・長居)が開催される。他種目にエントリーすることも視野に入れ、まずは回復に努める。五十嵐監督は日刊スポーツの取材に「日本選手権で5000メートルもあるけど、今は状態を良くすることだけ考えている。確実に目指していくということはない」と強調した。

日本陸連の山崎一彦強化委員長は大会後の会見で、1万メートル代表の3枠目に不破が選出される可能性について「当然、この日本選手権に出ていないと評価は難しい」と見解を示した。