GMOインターネットグループの大迫傑(31=ナイキ)がレース直後、ランナーからテレビ解説者に早変わりした。従来にはない「二刀流」ぶりを発揮した。

3区(13・6キロ)を走り、自身8年ぶりのニューイヤー駅伝で37分57秒の区間2位という快走を披露し、11人抜き。区間賞こそトヨタ自動車の太田智樹(37分40秒)に譲ったものの、その疲れも見せずに群馬県庁内に設置されたTBSの放送席に座り、6区以降のレースを解説した。

野球に例えるなら、先発して5回まで登板して勝利投手の権利を得た選手が、そのままテレビ中継の席に座って自チームの試合を解説するようなもの。もともと大迫は大学駅伝などで解説者として活躍しており、流暢なしゃべりと分析力には定評がある。

大迫は「本当に来ちゃいました」と笑い、「(レースは)楽しかったです。自分が出ることで盛り上がったし、良かったです」。そして自らのレースについて語った。

さらにはGMOでのメンバー選考についても言及。「5区まではすんなり決まりましたけど、6区、7区で誰にするか悩んだ」。6区に一色恭志、7区に渡邉利典の青学大出身選手の起用については「最後まで努力した選手」と判断し、自ら選んだ。2日前の全体ミーティングでは「Hondaさん、富士通さんにはまだまだ及ばないけど、そこが落ちてきたら一番に食ってかかれる獰猛さを持って臨もう」と選手たちにハッパをかけたという。

大迫はナイキ所属のまま昨年10月に「Playing Director(プレーイング・ディレクター)」に就任し、GMOインターネットグループに実業団登録。監督・コーチ陣と連携して指導・強化にあたりながら自らも出場した。

今回の参加について「僕が走ることで、ニューイヤー駅伝そのものが注目される。選手たちが自信やプライドを持って、世界に飛び出すことができると思う」と理由を説明しており、日本陸上界のゲームチェンジャーを自称するスーパースターは、従来の枠にとらわれない異彩ぶりまで見せつけた。