男子100メートル決勝で前回王者のサニブラウン・ハキーム(24=東レ)がアクシデントに見舞われた。

左足をつったため、10秒59(向かい風0・2メートル)で最下位の8位。8月の世界選手権(ブダペスト)の参加標準記録(10秒00)を満たしておらず、出場権を得るには7月30日までに突破するか、8月2日以降に確定する世界ランキングでターゲットナンバー(出場枠の目安)以内に入る必要がある。

     ◇   ◇     ◇

まさかだった。スタートで出遅れたサニブラウンは、思うように加速できない。中盤手前で失速し、一気に引き離された。優勝した坂井に0・49秒差をつけられての最下位。「足をつってしまった」。アクシデントに見舞われ、全力で走ることができなかった。

同日の準決勝でも、足を気にするしぐさを見せていた。「スタート前からつっていたんですよ」。4月下旬に2レースに出走後、負荷のかかるトレーニングを積んできた。大会開幕1週間前まで継続したことが、痛みにつながった。「こういうことがないように、日々の生活を見直したい」と反省の言葉を続けた。

それでもスタートラインに立ち、最後まで走り抜いた。この日は約100人の子どもたちをスタジアムに無料招待。諦める姿は見せたくなかった。「(予選を含めて)とりあえず3本走れた」と前を向いた。

今後は6月中旬にフィンランドでのレースに出場予定。5大会連続の世界選手権出場へ、10秒00突破を目指す。「スピード練習をもっと入れて、タイムも徐々に上げていければ」。昨夏の世界選手権では、日本人初の決勝進出。さらに先の景色を見るため、本来の姿を取り戻していく。【藤塚大輔】