昨季3冠王者の駒澤大(駒大)が4連覇を飾り、史上初となる「2季連続3冠」に王手をかけた。記録は5時間9分0秒で4年連続16回目の優勝。4連覇は大東文化大(73~76年)、早大(92~95年)、駒大(11~14年)に続く4度目の偉業となる。2位に青学大、3位に国学院大、4位に中大、5位に城西大、6位に創価大、7位大東文化大、8位東京国際大が続き、8校が来年のシード権を獲得した。

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駒大は1区から1度も首位を譲らない完全優勝で、歴代最多を更新する16度目のV。昨季の出雲駅伝から5連勝となり、大学3大駅伝の最多連勝記録に並んだ。

今年1月の箱根駅伝4区から首位でのタスキ渡しが続く中、この日も1区(9・5キロ)から流れに乗った。赤津勇進(4年)が早大・間瀬田純平(2年)とのデッドヒートを制し、1秒差で区間賞を獲得すると、2区(11・1キロ)の佐藤圭汰(2年)は従来の区間記録を11秒も更新し、31分01秒で区間新記録を樹立。「中盤以降に安定したペースで刻めて、ラストも自分の中では良い感じだった」と納得の走りで、2位に16秒差をつけ、3区(11・9キロ)へタスキをつないだ。

当日変更で3区に投入された篠原倖太朗(3年)は、後続との差を一気に拡大。ハーフマラソンの日本人学生記録保持者は区間2位となる33分39秒をマークし、2位との差を1分00秒に広げた。

午前10時に気温20度を超える中、4区(11・8キロ)の赤星雄斗(4年)、5区(12・4キロ)の伊藤蒼唯(2年)もともに区間2位でタスキ渡し。6区(12・8キロ)の安原太陽(4年)も区間賞を獲得し、2位に2分21秒差をつけた。

7区(17・6キロ)のエース鈴木芽吹(4年)、8区(19・7キロ)の山川拓馬(2年)も流れを切らさず、独走でゴール地点の伊勢神宮へたどり着いた。

昨夏から2大会連続で世界選手権代表の田澤廉(現トヨタ自動車)らを擁した昨季は、同校史上初の3冠を達成。大八木弘明監督(現総監督)が勇退し、4月から藤田敦史監督が就任する中、新チームは「昨季の最強チームへの挑戦」をテーマに掲げた。駅伝だけでなく、春のトラックシーズンの結果や夏合宿の進捗(しんちょく)などを前年度と比較するように目を向けてきた。

その姿勢のまま、3大駅伝初陣の出雲駅伝では、昨季の大会記録を41秒も更新。優勝を目指すだけでなく、レース途中から前年度の記録超えを意識していた。

この日の全日本大学駅伝でも、各ランナーが手首の腕時計で何度もタイムを確認しながら、懸命に腕を振った。藤田監督が4日の前日会見で「ここまで非常に良い準備をしてきた。他大学の動きというより、自分たちのレースができるかが鍵。自信をもって臨みたい」と見据えていた通り、堂々のレース運びをみせた。

2季連続の3冠は、過去に1度も達成したチームはいない。前人未到の偉業達成へ、来年1月の箱根駅伝でも前チームが打ち立てた大会記録に挑んでいく。【藤塚大輔】