16年リオデジャネイロ五輪3000メートル障害代表の塩尻和也(27=富士通)が27分9秒80の日本新記録で初優勝を飾った。パリ五輪の参加標準記録(27分00秒00)には届かず、内定はならなかった。

終始先頭集団でレースを進め、8000メートルで太田智樹、田沢廉(ともにトヨタ自動車)、相澤晃(旭化成)との4人の優勝争いに。田沢が脱落した後の9000メートルで一気に飛び出し、そのまま押し切った。ゴールに飛び込むと、自然に笑顔が浮かんだ。

1位から3位までが、これまで相沢が保持していた従来の日本記録(27分18秒75)を上回るハイレベルな争いを制した。

レース後の記者会見では「事前にイメージしたとおり、終盤の8000まで先頭集団について、勝負どころで前に出れるように意識して、その通りに走れた。タイムも日本記録で、タイム、順位ともに良い結果で走れたかな」と満足感に浸った。

主戦としてきた3000メートル障害は長期間レースに出ていない。所属の高橋監督が壇上で「3000障害も強かったですが、細かいハードリング見てると、そこまで向いてないのかなと。5000、1万でも世界は十分狙える。何より、やめてほしいなと。大けがしたときがあった。続けていく上でケガをされては嫌だなと」と説明する横で、本人はしたり顔。「結構未練はあって。ケガがあって、復帰して取り組んでいた時期もあった。直近2年は走ってないですが、消化不良で終わっているところある。走りたい気持ちはあります」と意思表示もした。

ただ、日本記録保持者となった事実は、何よりの強さの証明でもある。「今後3000障害に取り組むかわからないですが、今回結果出ているので、今の経験も3000障害の無駄にはならないのかな」とも。パリの参加標準切りまでは約10秒。「目の前の試合でベストを出していきたい」と見据えた。

 

<1>塩尻和也(富士通) 27分09秒80

<2>太田智樹(トヨタ自動車) 27分12秒53

<3>相沢晃(旭化成) 27分13秒04

<4>田沢廉(トヨタ自動車) 27分22秒31