トラック&フィールドの競技会が一気に本格化する。今年は8月のモスクワ世界陸上が陸上界最大のイベント。日本選抜和歌山、兵庫リレーカーニバル、織田幹雄記念国際のグランプリ3大会は、その選考競技会にも指定されている。

 悲願の9秒台が誕生する雰囲気になってきた。

 織田記念の男子100メートルに出場する山縣亮太(20=慶大)が期待の選手。シーズン初戦の東京六大学(7日)で10秒47をマーク。そのレースは向かい風が4.7メートルと強かったが、公認許容範囲の追い風2.0メートルなら9秒台が出ていた、という指摘も多い。

 織田記念の行われるエディオンスタジアム広島は記録の出やすい硬いトラックで、例年絶好の追い風が吹くことで知られている。

 アジア人初の9秒台は2007年にサミュエル・フランシス(カタール)が9秒99をマークしたが、アフリカ系選手だった。山縣が9秒台を出せばアフリカ系以外のアジア人では初の快挙となる。

 織田記念は男子やり投げも注目種目で、ロンドン五輪10位のディーン元気(21=早大)は態度を保留しているが、09年世界陸上銅メダリストの村上幸史(33=スズキ浜松AC)は出場を決めている。

 女子やり投げの海老原有希(27=同)、美人ハードラーの木村文子(24=エディオン)ら、日本新の期待される選手が多数出場する。

 兵庫リレーカーニバルは世界陸上候補の出場こそ少ないが、ユニバーシアード選考会に指定されているため、学生選手が多くエントリーした。東洋大の設楽啓太・悠太兄弟、駒大の村山謙太ら、箱根駅伝ランナーたちのなかでもスピード自慢の選手が出場する。

 日本選抜和歌山大会は混成競技が行われる唯一のグランプリ。十種競技の日本記録保持者、右代啓祐(26=スズキ浜松AC)が自身の日本記録更新を目指す。

 近年、アメリカに遠征する選手が多くなっているのも4月後半の特徴だ。

 男子800メートルの横田真人(25=富士通)、棒高跳びの沢野大地(32=同)、女子400メートルの千葉麻美(27=東邦銀行)らの日本記録保持者をはじめ、20人以上がマウントサックリレーに出場を予定している。

 また、カージナル招待は男女10000メートル日本記録が生まれている大会で、男子では佐藤悠基(26=日清食品グループ)、宮脇千博(21=トヨタ自動車)、宇賀地強(26=コニカミノルタ)らが日本記録を狙って遠征する。

 女子では福士加代子(31=ワコール)が、悲願の10000メートル日本記録更新に挑戦する。【4月後半の主な陸上競技大会(トラック&フィールド競技会)】4月18~20日:マウントサックリレー(アメリカ・カリフォルニア州マウントサンアントニオ大)4月20~21日:日本選抜和歌山4月21日:兵庫リレーカーニバル(神戸)4月28日:カージナル招待(アメリカ・カリフォルニア州スタンフォード大)4月29日:織田幹雄記念国際(広島)