全国的に梅雨入りし、雨の多い季節となった。今回は低気圧にまつわる健康法について記したいと思う。


トライアスロンは悪天候でも実施される
トライアスロンは悪天候でも実施される

ウェザーニュースによると、約8割の女性が気象の影響を受けて、頭痛、むくみ、めまい、耳鳴りなどの症状が出ると言われている。私自身、低気圧に弱いタイプで、天気が悪い日の前から頭が痛くなったり、時にはめまいがしたりする。

また、月に1度訪れる生理と低気圧が重なると、頭痛やめまいだけではなく、PMS(月経前症候群)によるイライラや落ち込みといった精神症状に拍車がかかる。

それに加えて、2016年春ごろには三半規管がおかしくなり、乗り物酔いや波酔いをするようになった。乗り物酔いをしやすい人は「内耳」の揺れに弱い体質の人が多く、気圧の変化をキャッチする体の器官が「内耳」のため、気圧変化による体調不良を引き起こしやすいそうだ。

このように、私は低気圧で自律神経のバランスが左右され、体調不良になる典型的なタイプだ。

なぜ低気圧で自律神経が乱れるのか。

気圧が下がると、身体を外部に膨らませようとする力が働く。しかし、実際には身体が膨らむことはないため、膨らませようとする力に対抗するべく、血管や筋肉を収縮させて、体内の圧を調整しようとする。体の変化をストレスと感じてしまい、自律神経が乱れ、体調不良として現れる。


筆者(左)も出場した2016年トライアスロン日本選手権はどしゃぶりの雨の中で行われた
筆者(左)も出場した2016年トライアスロン日本選手権はどしゃぶりの雨の中で行われた

残念ながら、低気圧はコントロール出来ないので、天気とうまく付き合っていく事が大切になる。

では、どうしたら私たちはこの梅雨を快適に過ごせるだろうか。私の体験から、雨季に心掛けていたことを紹介したい。

(1)身体を温める

冬から春になり寒暖差が激しいこの季節。自律神経のバランスを整えるためにも、40度前後のお風呂に浸かってリラックスすることを心がけていた。時間の目安は15~20分。好きな入浴剤を入れてリラックスもできるし身体の芯が温まる。

また、足首を温めるために、寝る時はレッグウォーマーを着けていた。私は冷え性ではないので、足首のみだったが、冷え性の方は3首といわれている手首、胸首、足首を温めるとよいと思う。目を温める事も効果的で、副交感神経が優位に働きやすくなる。

現役選手のころは、あまりにも厳しい天候以外はレースがあるし、トレーニングもあった。場所によっては水温15度という低温の海で泳ぐレースもある。三半規管のバランスが崩れてから冷たい海に入るとめまいや吐き気が襲ってくるようになり、レースで痛い目にあったこともある。温めることで全身の血流がよくなり、自律神経が整うので、身体を温めることは常に意識を持って行っていた。


(2)血流を良くするツボを押す

これは当時のトレーナーさんや鍼灸師の妹に教えてもらいながら実践していた。どんな時でもパッと行え、レース直前まで押していたのは、手の甲にある「合谷(ごうこく)」というツボだ。親指と人差し指の骨が交差するあたりのくぼみ部分を刺激する。ここを押すと自律神経の乱れを正常に戻し、気持ちを落ち着かせることができる。

もう1箇所は、『三陰交(さんいんこう)』というツボで、足の内くるぶしから指4本分ほど上にある。このツボは特有の疾患に効果が高いツボではあるが、私の場合はここにお灸や置き針をするだけで身体がポカポカ温まり、身体のコンディションが整った。


(3)食に気をつける

(1)でも紹介したが、身体の中から温める事も意識していた。野菜は温野菜にする、飲み物は温かいものにする、根菜や生姜などを料理に取り入れるなどの工夫をしていた。「この季節に鍋?」と思われがちではあるが、鍋は栄養価の高い食材や身体を温める食材を入れることが出来る最高の料理だと思う。


(4)呼吸を整える

リラックスする時や緊張をほぐすために深呼吸はよく取り入れられているが、自律神経のバランスを整えるためにも効果的。私が取り入れていた呼吸法は「4カウントで鼻から息を吸って、4カウント息を止めて、8カウントかけて口から息を吐く」これを8回繰り返すという呼吸法を行っていた。

ツボと同様、この呼吸法もすぐに実践できるものなので、体調が優れないなと思う時は行ってみてほしい。


以上、この記事を読んでくださった方の中で私と同じ悩みをお持ちの方は、ジメッと過ごしにくいこの時期を少しでも快適に過ごせるように日常生活の中でぜひ取り入れていただきたいと思う。(加藤友里恵=リオデジャネイロ五輪トライアスロン代表)