2月4日の日曜日、富山県富山市で開催された「富山市SDGs推進フォーラム」のパネルディスカッションに参加させていただいた。

パネリストは中島祥元さん(一般社団法人ルーツ・スポーツ・ジャパン代表理事)、藤井裕久・富山市長、コーディネーターの新田英理子さん(一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク理事・事務局長)と登壇させていただき、スポーツ×SDGsについてお話しさせていただいた。

富山市SDGs推進フォーラムでの様子
富山市SDGs推進フォーラムでの様子

まず、私がこのような場に呼んでいただけるようになったのはアスリート時代の自分自身の経験からなっている。

1つ目は、2016年頃から海を泳ぐ度に身体に湿疹が出るようになってしまった。最初は「気のせいだ」と流していたが、レースの度に湿疹が出てしまい、前日のコース試泳することさえ躊躇していた。検査結果は原因不明。対処法もないまま薬を塗ってなんとか誤魔化していた。

最終的にはアナフィラキシーのような症状に見舞われ、内科の先生から汚水やプランクトンによる皮膚炎(海水アレルギー)の可能性が高いと診断された。

最初はこのことがきっかけで、海や水辺の環境問題について関心を持つようになった。そして、環境と密接に関わりを持つトライアスロン競技は近年、「水質」や「気象状況(気温上昇)」によって、競技が実行されない基準が設けられている。現に、水質異常によりスイムがキャンセルされ、デュアスロン競技(ラン、バイク、ラン)へ変更となっている大会もある。環境問題と向き合うきっかけとなったし、真摯に受け止めなければならない案件だと思う。

2つ目は、以前からもコラムで話しているように無月経を経験したり、摂食障害や自律神経に関わる病気も経験しており、それらはスポーツ本来の「楽しさ」ではなく、行き過ぎたストレスからなってしまった経験だ。今となっては人生の中でも1番苦しくも成長できるきっかけとなった出来事ではあるが、これから頑張ろうとしている方々にはこのような思いをしてほしくないという気持ちでいる。

3つ目は「応援」の素晴らしさについてアスリートの視点から伝えられる。アスリートの時に感じた応援のありがたみ。これを恩返しするためにも、今、私が市民の皆さまに対して健康増進や青少年の育成に着手したイベントを行っている。プレイヤーは応援されることでパワーが湧く。応援している側は、アスリートの頑張りで感動が湧く。このプラスの力は何ものにも変え難い素晴らしさがあると思う。

銚子マリーナでのビーチクリーンの様子
銚子マリーナでのビーチクリーンの様子

これらの事柄は、SDGsにも関わっているが「SDGsをやるぞー!」とはじめたことではなく、「自分自身の経験を通して、社会に少しでも何かできないか」。そう感じたことが原点にあり、ビーチクリーン活動やイベントなどを市民の皆さまや協力してくれているアスリートと共に行っている。

パネルディスカッションではこのようなことを元にスポーツがもたらす素晴らしさについて話し合い、パネリストとして参加している立場でありながらも中島さん、藤井市長、新田さんのご意見を聞き、勉強になることや気付き、驚きが多くあった。

富山市は、私が理想とする街であると感じた。

藤井市長がスポーツが好きということで、スポーツがもたらす、「健康、感動、活力」を体現し、市民の皆さんの志しが非常に高いと感じた。小学生による発表では、「雪がなくなるとスキーができない」という私自身も身近に感じている環境問題について強く語っている小学生もいた。

そして「マイバックをお持ちの方?」と市長が会場にいる方々に問いたいところ、100%全員がマイバックを持っていた。

これは当たり前か?と言われたら、今の日本では当たり前ではないと思う。ひとりひとりの意識が高い。健康増進や市民にSDGsの知識を高めさせるために、さまざまな工夫もされており、感銘を受けた。

富山市から全国にこのよい波長が広まると良いなと感じた。

スポーツはたくさんの「掛け算」ができると思う。スポーツ×健康、環境、観光、青少年の育成など、可能性は無限だ。

このフォーラムを通して、今後イベントなどを行う際にもっと意味のあるものを行い、自治体や民間企業とも連携を取りながらより良いものにしていきたいと強く思った。

(加藤友里恵=リオデジャネイロ五輪トライアスロン日本代表)

富山駅前に立つ筆者
富山駅前に立つ筆者