今月18日に開幕した「世界水泳選手権ブダペスト大会2022」。飛び込み競技は26日から始まる。

日本とハンガリー・ブダペストとの時差は7時間。準決勝や決勝は、日本時間の深夜に行われることになる。選手たちは、久々の時差調整に苦戦しながらも、試合に向けてコンディションを整えていることだろう。

飛び込み競技の選手団は、日本時間の20日夜に現地入りした。

そこで、初日の練習を終えた男子3m(板飛び込み)に出場する坂井丞(29=ミキハウス)からプールの印象を聞いた。

「3mの飛び板は2022年製の新しいボードがそろえられていて、よくしなる柔らかい板で飛びやすい。板を踏み込んだあとに、しっかりと跳ね返りがあるので、空中へと高く飛び上げてくれる」と感触の良さそうな返事がきた。こういった性質の板は、特に高難度の技をそろえている選手たちにとって、とても好都合な板だ。


世界水泳ブダペストの飛び込み台
世界水泳ブダペストの飛び込み台

しかし、気になる情報もいくつかあった。

まずは「プールの水温は低め」ということ。今回は室内プールでの開催のため、条件が天候に左右されることはない。しかし飛び込み競技は、水泳競技の1つではあるが、水に入っている時間はごくわずか。そのため、体を冷やさないように必ずジャグジーやシャワーが備えつけられている。寒さは体の動きやコンディションを整えるためには大敵。選手たちは、しっかりと寒さ対策をして練習や試合に臨んでほしいと思う。

次に「水が硬い」という点だ。世界各国ではもちろん、国内でもプールによって水質は違う。選手間では水を「硬い」や「柔らかい」「重い」などの言葉で表現し、その時々で対策を考えている。この場合は、手首や肩への衝撃が強くなり、試合までの短い期間であっても痛めてしまう恐れがある。ケガを防ぐためにも、入水時にはいつも以上にしっかりと体を締めておくことが必要だ。

「水が冷たくて硬い」というのは、体への負担が大きくなる。練習後や試合後には、ストレッチやトレーナーによるケアなどを入念に行うこともとても重要である。


体を冷やさないように注意
体を冷やさないように注意

そしてもう1つ。高飛び込みのマットだ。私は高飛び込みがメインの選手だったこともあり、個人的にはこれが一番気になる点だ。

通常、台の表面にはタータンと呼ばれる黒いゴム素材の「滑り止めマット」が敷かれている。しかし、今回使われているのは、細かいタイル調になっているグレーのマット。日本では使われていない素材のものだ。

私も現役時代に何度か国際大会で使用した経験があるが、黒いタータンに比べて滑り止め感が弱い。特に濡れている足の裏では滑るような感触がして、踏み切る時には少し怖かった記憶がある。私は人一倍怖がりだったため、踏み切り時の動きが変わってしまうほどだったが、今回出場する選手たちは、このようなマットでも自分のパフォーマンスができる事を祈っている。

うれしい情報としては、「現地の食事がおいしい」という情報も入ってきた。おいしい食事は、試合前でナーバスになっている心を癒やしてくれる大きな要因の1つ。きっと頑張る気力になっているに違いない。

飛び込み競技のスケジュールは下記の通り「CSテレ朝チャンネル2」で生中継される予定だ。


<日本時間>

6/26(日)深夜1:30~3:05 女子10m準決勝

6/27(月)午後11:00~0:35 女子10m準決勝※ 録画再放送

6/27(月)深夜2:00~3:05 女子10m決勝

6/28(火)午後7:30~9:00 女子10m決勝 ※録画再放送

7/2(土) 午後11:00~0:35 男子10m準決勝

7/3(日) 午後5:25~7:00 男子10m準決勝 ※録画再放送

7/3(日) 深夜0:00~1:15 男子10m決勝

7/4(月) 午後7:00~8:15 男子10m決勝 ※録画再放送


初日に登場するのは、女子高飛び込みに出場する板橋美波(22=JSS宝塚)、荒井祭里(21=JSS宝塚)の2人。両選手ともオリンピックに出場している経験豊富な選手だ。

そのあとには、男子高飛び込みに出場する注目の玉井陸斗(15=JSS宝塚)も控えている。

みなさんも、選手たちの熱い戦いをぜひご覧になり、大きな声援をよろしくお願い致します。

(中川真依=北京、ロンドン五輪飛び込み代表)