篠田正浩

最後の監督作品「スパイ・ゾルゲ」公開初日の舞台あいさつで妻で女優の岩下志麻から花束を渡された篠田正浩監督
最後の監督作品「スパイ・ゾルゲ」公開初日の舞台あいさつで妻で女優の岩下志麻から花束を渡された篠田正浩監督

「映画監督としての情熱や感性が衰えているとは思っていません。ただ大勢のお客さんに喜んでもらえる映画を作るだけの体力、気力はもう限界ってことなんです」。スポーツ選手の引退コメントのようだ。篠田正浩72歳。50年36本目の「スパイ・ゾルゲ」を最後にメガホンを置く。篠田は早大時代2度箱根駅伝の〝花の2区〟を走っている。スポーツマンだった。「勲章なんていらない。紫綬褒章だって、みんな断っている。だって何で代議士が勲1等で、映画監督は勲4等なんだよ」。命がけで映画を作ってきた男には「勲章なんていらない」のだ。引き際がカッコいい。妻の岩下志麻は「これからは家で優しくしてあげようかな」。(^o^)

<芸能・2003年6月15日掲載>